それでも孤立する久保建英。新システムも無駄…マジョルカが改善されぬ現状と課題とは

リーガ・エスパニョーラ第19節、グラナダ対マジョルカが5日に行われ1-0でホームチームが勝利している。MF久保建英は今季初のシャドーで先発。しかし、ドリブルなどで局面を打開しようとするシーンはあったが、味方のサポートも少なく、不完全燃焼に終わった。(文:小澤祐作)

2020年01月06日(Mon)10時48分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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今季初のシャドーで先発

久保建英
グラナダ戦でフル出場を果たした久保建英【写真:Getty Images】

 2019/20シーズンのリーガ・エスパニョーラも前半戦を終えた。今季よりプリメーラ・ディビシオン復帰を果たしているマジョルカは、前半戦を4勝3分11敗の成績でフィニッシュ。順位は降格圏ギリギリの17位だ。昇格1年目ということで難しいシーズンになることは予想できていたが、現状はかなり厳しいと言わざるを得ない。

 そんなマジョルカは、5日に2020年のリーグ初戦を迎えている。相手は同じく昇格組のグラナダ。ただ、相手は今季のリーグ戦でアトレティコ・マドリーに引き分け、バルセロナを2-0で下すなど昇格1年目とは思えない強さを発揮している。後半戦の一発目を勝利で飾り、残留への活路を拓きたいマジョルカにとっては、厄介な相手になることは確かだった。

 その重要な一戦で、マジョルカを率いるビセンテ・モレノ監督は“変化”を見せてきた。同チームはそれまで4バックをベースに戦ってきたが、なんとグラナダ戦では3バックを採用してきたのである。その中で、MF久保建英は2シャドーの一角として先発。U-22日本代表でもプレーした同ポジションでどのような働きを見せるかに注目が集まった。

 試合は立ち上がりからグラナダのペースで進む。守備時は5バックになり、ゴール前に人数を集めて守ろうとするマジョルカに対し、ホームチームは効果的なサイドチェンジから相手のスライドが整う前に縦への勝負パスを躊躇なく放り込む。マジョルカはCBとWBの関係性がイマイチで、そこの綻びを試合開始早々に何度か突かれていた。

 マジョルカはその後もそうした部分を改善することができず、23分に失点を許してしまう。右サイドからの縦パスを呼び込んだFWロベルト・ソルダードがボックス内に入ると、中央へグラウンダーのクロスを送る。これを最後はMFアンヘル・モントーロが冷静に押し込んだ。

 先制点を献上してしまったマジョルカは、5-4-1のブロックを築いてグラナダのビルドアップを阻止しにかかる。ボールを奪ったら縦へ素早く展開。狙いは見せていた。

 その中で久保は、サイドに開いたり中へ絞ってウイングバックの使うスペースを作ったりと、オフ・ザ・ボール時でも仕事を果たそうとしていた。36分にはDFフラン・ガメスからパスを受けると、両足を巧みに使い相手DFを揺さぶり、クロスでチャンスを演出。ボールを持った際の怖さは相変わらず滲み出ていた。

 しかし、課題は守備の部分だ。守備時は5-4-1になるマジョルカにおいて、久保は相手のサイドバックをケアしなければならないのだが、ボールホルダーに対するアプローチが少し緩い。その分、ウイングバックのガメスへの負担が大きくなり、相手にそこに人数をかけられると簡単に崩れてしまう。決して久保に「深い位置まで戻って守備をしろ」というわけではないが、もう少し高い位置からプレッシャーを与えられれば、後ろの選手も呼吸を整えることができたはずだ。

久保のスタッツはチーム最低

 0-1のまま迎えた後半は、マジョルカが主導権を握る展開に。しかし、1点を守り切ろうとするグラナダの最終ラインは堅く、なかなか同点に追いつくことはできない。モレノ監督は途中から3バックを止め、システムを4バックに変更。いつも通りの形に戻した。

 久保は前半同様、ボールを受けようと中央、外のスペースに状況を見ながらポジショニング。何度か「ボールが来れば」というシーンもあった。しかし、久保はやはり警戒されているのか、相手の徹底マークに苦しむ。当然、味方もそこを理解しているので、ボールは出せない。そのため、ポジショニングが良いだけでその後が続かないという時間帯が、この日も長く続いた。

 もう一つの問題点が、久保への徹底マークをチームが生かしきれなかったこと。背番号26が相手をつり出しても、それによって生まれるスペースに味方が飛び込む場面が明らかに少なかった。唯一、久保が中へ絞ったことでできたサイドのスペースをガメスが突くというシーンはあったが、パターンはその一つのみ。中央の守備には自信を持つグラナダからすれば、ゴールからは距離のあるサイドを突かれるのは許容範囲だ。相手を深い位置まで押し込める利点はあるが、同点に追いつくためのオプションとしては物足りなさが残ったと言えるだろう。FWアンテ・ブディミールが不在であったのでなおさらだ。

 マジョルカの選手は、一人ひとりがボールを持ってから展開するまでが遅い。パスが来てから味方を探すことがほとんどである。そうなると、グラナダの守備陣が自信を持って守れるのは当然だ。事実、この日のグラナダにディフェンスラインの綻びはほとんど見られなかった。これも、攻撃で決定機を作りたい久保からしてみれば、大きな障害になったと言えるだろう。

 久保はボールを持ったら複数人に囲まれる。48分のシーンのように、DF2人の間を強引に突破しようとして局面の打開を図ることも多い。しかし、それこそがマジョルカの現状を表している。相手が複数人でボールホルダーにプレッシャーを何度もかけることができる状況を、マジョルカの攻撃陣が作らせてしまっているのだ。攻撃時にかかる久保への負担は大きい。これでは、久保も、チーム自体も点を奪うことができないのは当たり前だ。

 データサイト『Who Scored』によると、久保はこの日、先発出場を果たした選手の中でワースト2位となるタッチ数46回を記録。同じくシャドーの一角に入ったMFダニ・ロドリゲスが71回であることから、その数字の低さは明らかだ。パス成功数はわずか18本。「6.1」のレーティングはDFアレクサンダル・セドラルらに並んで両チームワーストタイとなっている。

 もちろん久保にも課題はある。先述した通り、守備面での対応は改善が必要だ。しかし、肝心の攻撃面ではサポートが明らかに少なすぎる。これでは、スタッツが伸びないのも当たり前。一体、いつになったらマジョルカはそうした部分を改善するのだろうか。

 同日に試合を行っていたセルタがオサスナと1-1で引き分けたため、0-1で敗れたマジョルカは得失点差でセルタを下回り降格圏に転落した。リーグ戦は6試合未勝利中。久保にとっても正念場であることは間違いないが、モレノ監督の立場もいよいよ危ういと言えるだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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