ミラン、“イブラヒモビッチ効果”は絶大。発揮した抜群の嗅覚、ブレシア戦でも救世主に

セリエA第21節、ブレシア対ミランが現地時間24日に行われ、0-1でアウェイチームが勝利している。下位チーム相手に苦戦を強いられたミランであったが、途中出場のレビッチがゴールを沈め、リーグ戦3連勝を果たした。その中で救世主となったのは、あの選手だった。(文:小澤祐作)

2020年01月25日(Sat)11時57分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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下位チームを相手に序盤は苦戦

ミラン
ミランはリーグ第21節でブレシアと対戦し、1-0で勝利【写真:Getty Images】

 元スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチ加入後、ミランの調子が上がっている。ゲーム内容自体はまだまだ改善の余地があるものの、セリエA第18節のサンプドリア戦、第19節のカリアリ戦、第20節のウディネーゼ戦と3試合連続負けなし。結果こそが大事な時期に、しっかりとポイントを稼げている。

 ミランは開幕当初、4-3-3のフォーメーションを基本としていたが、現在は4-4-2がベースとなっている。前者よりも全体的にバランスが取れているのは明らかで、選手個々の特徴も活きるようになってきた。先述した通り、全体の完成度はあまり高いとは言えないが、変化が見られ、かつ結果が出ていることはポジティブに捉えてもいいだろう。

 そのミランは現地時間24日、セリエAの第21節でブレシアとアウェイで対戦している。相手は直近のリーグ戦5試合未勝利に終わっており、調子が上向いているミランからすればしっかりと勝ち点3を奪いたい試合になった。

 ミランのフォーメーションは4-4-2。ここ最近連係が深まりつつあるイブラヒモビッチとFWラファエル・レオンを最前線に並べた。最終ラインには今冬に加入したDFシモン・ケアー、左サイドハーフにはトッテナム移籍などが噂されるMFハカン・チャルハノールが名を連ねている。

 試合は立ち上がりからホーム・ブレシアがボールを保持する展開に。4-3-1-2のアンカーを務めるMFサンドロ・トナーリを中心に細かいパスを繋ぎ、ミランのプレスを的確に回避。ボールを奪われても複数人で素早くアクションを起こし、相手に落ち着きを与える前に再びマイボールにしていた。

 ブレシアは攻撃時、トップ下のMFロムロがミランのボランチ1枚を引き連れ下がってくる。それよりも後ろでボールを保持する選手はそのロムロを飛ばし、2トップへ縦パスを当てる。するとその瞬間にインサイドハーフの選手が飛び出し、ロムロが引き付けたことで1枚となっていたミランのボランチの脇のスペースを突く。そこから攻撃が一気に加速し、サイドバックも絡んだ厚みのある攻めを繰り出した。

 ミランはそんなブレシアを前に苦戦。何度かGKジャンルイジ・ドンナルンマの好セーブに救われるシーンもあった。守備陣はブレシアのFWエルネスト・トッレグロッサの多彩な動き出しにも翻弄されるなど、なかなかペースを掴むことができなかった。

ミランはチャンスを作れず

 攻撃時はMFイスマエル・ベナセルが何度か相手の嫌なスペースを突いたが、フィニッシュまで持っていくには至らなかった。イブラヒモビッチにボールは収まるものの、そのサポートに回る選手は中盤でことごとく潰される。4-4-2のシステム上、相手のCBとアンカーの間のスペースを自由に動くことが許されているレオンも存在感を失い、攻撃は少し停滞していた。

 39分には左サイドを駆け上がったDFテオ・エルナンデスからグラウンダーのクロスが入り、イブラヒモビッチがGKイェッセ・ヨロネンと1対1になるビッグチャンスを迎えたが、背番号21がこれを逸する。前半、ミランはシュート数8本を放ちながら枠内に飛ばしたのはわずか2本。スコアレスで前半を折り返した。

 後半に入っても試合の流れに大きな変化はなかった。相変わらず選手間の距離をコンパクトに保ち、細かなパスを繋いでくるブレシアを前にミランはボールの奪いどころを定められず苦戦。51分にはトッレグロッサ、54分にはMFディミトリ・ビゾーリ、57分にはトナーリに決定機を演出されるなど立て続けにピンチを招いた。

 徐々にイブラヒモビッチの存在感も失われつつあったミラン。しびれを切らしたステファノ・ピオーリ監督は57分に前節のウディネーゼ戦で2ゴールを挙げ勝利の立役者となったFWアンテ・レビッチを投入するなど、状況の打開を試みた。

 それでも、ブレシアのコンパクトかつアグレッシブな守備に悪戦苦闘したミラン。サイド攻撃も封じられ、チャンスらしいチャンスを作れない。無得点のまま、時間だけが過ぎていった。

 しかし、ついに試合が動く。ここで魅せたのは、やはりあの男だった。

イブラヒモビッチ加入による効果

ズラタン・イブラヒモビッチ
ズラタン・イブラヒモビッチ【写真:Getty Images】

 71分、T・エルナンデスから右サイドのイブラヒモビッチにロングボールが通ると、ボールを受けた背番号21が右足で鋭いグラウンダーのクロスを送る。ゴール前の混戦から最後は途中出場のレビッチがゴールを射抜き、ミランが先制に成功した。

 T・エルナンデスからボールが出る直前、イブラヒモビッチはDFアンドレア・チスターナ、DFアレシュ・マテユがボールウォッチャーになっているのを見逃さず、スピードを上げ相手の背後を突いた。グラウンダーのクロスが一発で味方に届かなかったとはいえ、このあたりの嗅覚はさすがと言うべきだろう。

 ようやくリードを奪ったミランは、その後FWサム・カスティジェホがゴールネットを揺らし(オフサイドで取り消し)、T・エルナンデスがクロスバー直撃のシュートを放つなど、勢いそのままにブレシアを押し込む。終盤にはMFラデ・クルニッチを投入し、サイドでの運動量を上げるなど試合を締めにかかった。

 試合はこのまま1-0でミランが勝利。これでリーグ戦3連勝とし、暫定ながらヨーロッパリーグ(EL)出場圏内の6位にまで順位を上げている。

 イブラヒモビッチ加入後、リーグ戦で無敗。同選手がチームにもたらす効果は、果てしなく大きいと言わざるを得ないだろう。

 とにかく前線での存在感が別格だ。相手選手はイブラヒモビッチという男がいるだけで、いつも以上の緊張感を持っているようにも思える。これほど強烈な個を発揮できる存在は、ここ最近のミランにはいなかった。

 身長195cmの体躯を生かした空中戦の強さはもちろんのこと、テコンドー経験者ということで股関節が柔らかく、どんなに難しいボールでもとにかく長い足を生かして収めてくれる。前線でこれだけボールを落ち着かせてくれる選手がいるのは、味方からしても頼もしいだろう。

 イブラヒモビッチが前線で仕事をするおかげで、T・エルナンデスやレビッチ、レオンといった選手も活きるようになってきた。これまでは前線へ走り込んでも4-3-3の1トップの位置で捕まり、その動き出しが無駄になることも多々あったが、今では最前線でボールが収まるため、躊躇することなく飛び出していくことができる。レビッチは起用される機会が増えており、リーグ戦では2試合連続ゴール中。4-4-2へのシステム変更はイブラヒモビッチ加入によるものだが、レビッチはその恩恵を受けていると言えるだろう。

 ゴールは第19節のカリアリ戦で挙げたもののみとなっているが、イブラヒモビッチの存在はその他の部分でもしっかり生きている。ミランの好調は今後しばらく続くかもしれない。

(文:小澤祐作)

【了】

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