強すぎるぞリバプール! 4発でサウサンプトン粉砕、大勝への航路を拓いたフィルミーノの技術

プレミアリーグ第25節、リバプール対サウサンプトンが現地時間1日に行われ、4-0でホームチームが勝利している。前半は苦戦を強いられたリバプールだったが、後半は相手の運動量が落ちたこともあり大量4得点。3アシストを記録したロベルト・フィルミーノの存在は大きかった。(文:小澤祐作)

2020年02月02日(Sun)11時55分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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発揮されたセインツの勢い

リバプール
【写真:Getty Images】

「サウサンプトンはレスターに0-9で負けてからの立て直しは見事で、監督は全力を尽くしたと思う」

 試合の前日会見でユルゲン・クロップ監督はこのように話していたという。その言葉通り、ここ最近のサウサンプトンは好調だ。

 第10節のレスター戦で0-9の歴史的大敗を喫して以降、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督は4-4-2システムに力を入れ、チームの再建を図った。すると同システムがその効果を発揮し、勝ち点を奪える試合が増える。チェルシー、トッテナム、そしてレスターから勝利を奪うなど、上位陣相手にも堂々とした戦いぶりを見せるようになった。一時は19位にも沈んだチームが、第24節のクリスタル・パレス戦終了時点で9位。その復調ぶりは明らかだった。

 そして、蘇ったサウサンプトンの勢いは、プレミアリーグ第25節のリバプール戦でも発揮されている。

 4-4-2システムで首位チームに挑んだサウサンプトンは、立ち上がりから連動したプレスで相手に圧力をかけ、自由を奪う。セカンドボールへの反応も素早く、リバプール攻撃陣に縦への突破を許さなかった。

 守備時はアンカーのMFファビーニョに対し2トップの一角がマークに付く。こうしてリバプールのビルドアップの起点を封じると、ボールをサイドに流させ、使えるスペースを制限。そこで再びプレスの強度を高め、狭いエリアからの脱出を許さなかった。リバプールのカウンターはやはり脅威だったが、それでもゴール前では3バックが身体を張ってゴールを死守。ハードなプレーで首位クラブを困惑させた。

 攻撃時はFWダニー・イングスとFWシェイン・ロングの2トップが絶妙な距離感を保ち、高い連係を発揮してチャンスを作り出した。とくにイングスは、味方が高い位置でボールを奪った際の動き出しが非常に鋭く、リバプールDF陣のラインが整う前にゴール前へ侵入している。何度かGKアリソンを襲うなど、先制ゴールが前半のうちに生まれてもおかしくはなかった。

 42分の場面では、中央でのビルドアップを阻止し、ボールをサイドに流させたサウサンプトン。すると、パスを受けようとたまらずMFアレックス・オックスレイド=チェンバレン下がってきたが、それこそがセインツの狙い。ボールホルダーが使えそうなエリアを的確に消し、コントロールが大きくなったところをMFピエール=エミル・ホイビェアが突く。高い位置でボールを奪取し、最終的にはシュートまで繋げている。

 このように、サウサンプトンは前半終了間際まで強度の高いプレーを維持し、リバプールを封じ込めた。45分間だけの内容なら、アウェイチームがリードしてもおかしくない。そんな展開だった。

後半はリバプールが圧倒

 前半、サウサンプトンは支配率で大きくリバプールを下回ったものの、シュート10本を記録。これは、ホームチームを上回る数字となっている。連動したプレスにより生まれた綻びを突いてのカウンター。セインツのこうした狙いは、レッズ相手にも十分通用していたと言えるだろう。ハーゼンヒュットル監督も手応えは掴んでいたはずだ。

 しかし、リバプールは今季プレミアリーグで無敗を維持しているチーム。それも、この日の舞台はあのアンフィールドだ。そんな中で、レッズから勝利を奪うのはまさに至難の業。セインツは後半、相手の力を痛感することになる。

 試合が動いたのは後半開始直後の47分。左サイド深い位置まで侵入したリバプールがボールをキープすると、最後はオックスレイド=チェンバレンがカットインから右足を振り抜く。GKアレックス・マッカーシーは一歩も動くことができず、ボールはゴールへと吸い込まれた。

 先制点を奪ったことにより、鎖のようなものが外れたのか、リバプールはそこから完全に勢いを取り戻した。後半はとくにロングボールを使用する回数が増え、中盤のエリアを飛ばして相手を深い位置へ押し込む。そこでボールをキープできずとも、相手のクリアを誘発するようなプレスをかけ、長いボールを蹴らせてそれを回収し、速攻へと繋げる。サウサンプトンの運動量を奪うには十分な選択であった。

 60分にはカウンターからMFジョーダン・ヘンダーソンが追加点をマーク。これで勝負はほぼ決まったも同然であった。しかし、そこで終わらないのが今のリバプール。ここから一気にセインツを崩壊へと導く。

 71分には右サイドを抜け出したヘンダーソンからFWモハメド・サラーに絶妙なスルーパスが通り3点目。90分にはFWロベルト・フィルミーノからサラーにパスが通り、4点目を奪取。前半、無得点に終わったリバプールだが、訪れたチャンスをしっかりと沈め、大量得点を挙げた。

 試合は4-0のまま終了。セインツの好調を支えている4-4-2システムの脅威も、リバプールの前ではすべてが無力となった。一度でも深いエリアへ侵入することができれば、確実にゴールを奪える。リバプールにはそうした強みが存在する。これでホームチームはリーグ戦16連勝。「強い」の言葉では収まらない。強すぎる。

フィルミーノの技術

ロベルト・フィルミーノ
【写真:Getty Images】

 サウサンプトンは結果的に0-4の大敗を喫したが、決して悪いチームではなかった。前半にリバプールを苦しめたのは誰の目にも明らかで、ゴールへの期待感も非常に高かった。アリソンやDFフィルジル・ファン・ダイク、DFジョー・ゴメスらの壁は分厚かったが、この調子を維持できれば、残留は問題ないだろう。

 しかし、力の差を見せつけられたのも事実。後半はとくに運動量が落ち、リバプールに危険なエリアを使われることも多かった。中盤のプレスバックが間に合わないシーンもあり、4バックと中盤底の間にぽっかりとスペースが空くこともしばしば。前半は締めることができていた中央のエリアを、リバプールに的確に突かれてしまったのが最大の敗因と言えそうだ。

 そして、セインツがそのエリアでの躍動を許してしまったのがFWロベルト・フィルミーノ。ゴール前での動き出しやパスを受け、散らす働きはこの日も申し分なかった。

 前半こそやや存在感を失っていたフィルミーノだが、後半は技術の高さを見せ、サウサンプトンを崩壊へと3アシストを記録している。

 とにかく、フィルミーノの状況判断力が非常に優れている。1点目のアシストの場面では、おしゃれなヒールパスを出しているのだが、一度ボールを拾いに行く際にペースを落とし、ボールをキープすると見せかけ相手を引き付けている。そこで素早くヒールパス。この時サウサンプトンのDF陣2人がフィルミーノに寄せているが、見事に裏を突かれた。

 2点目のアシストもブラジル人FWの技術が余すことなく詰まっている。DFトレント・アレクサンダー=アーノルドのクリアを受けた際、フィルミーノはボールをその場に留めるのではなく、右足で少しだけボールを前に押し出し、スピードを殺すことなく深い位置に侵入している。これにより、サウサンプトンのDF陣は形を整える時間を与えてもらえなかった。

 ペナルティエリア内に侵入したフィルミーノは、左足を大きく振りかぶると見せかけ、相手DFを飛び込ませた。この時、後方からヘンダーソンが来ていることはサウサンプトンDF陣は気づいていない。しかし、背番号9はわかっていた。スライディングタックルを見せたDF陣を外し、ヘンダーソンのゴールをお膳立てしたのだ。

 ペナルティエリア内に飛び込むタイミングの良さ、卓越した技術、そして球際の強さ。このすべてがフィルミーノには兼ね備わっている。3アシストはまさに同選手の特長が最大限発揮された結果が招いたもの。リバプールの攻撃が加速する上で、この男の存在はやはり欠かせない。

(文:小澤祐作)

【了】

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