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久保建英にファウル連発、レアルが認めた証とは? 一方で…突きつけられた現実と復帰への険しい道

リーガエスパニョーラ第31節、レアル・マドリード対マジョルカが現地時間24日に行われ、レアルが2-0で勝利を収めた。フル出場したマジョルカの久保建英が存在感を放っていることはプレーやスタッツからも明らか。しかし、自身を保有するレアルとの直接対決で、復帰への道のりが険しいことも露わになっている。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

レアルの強さ

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【写真:Getty Images】

 ジャイアントキリングの再現とはならなかった。

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 昨年10月の前回対戦でマジョルカは大金星を挙げたが、この日はレアル・マドリードを相手にゴールを奪うことができなかった。レアルは19分にヴィニシウス・ジュニオールのゴールで先制すると、56分にはセルヒオ・ラモスがFKを直接決めて追加点。2-0で勝利を収めたレアルは勝ち点でバルセロナと並び、直接対決の成績により首位に浮上している。

 バルセロナとは対照的な勝利だった。バルセロナは前日にアスレティック・ビルバオと対戦しているが、自陣にブロックを固める相手に攻めあぐねた。ボール保持率は70%を越えたが、決定的なチャンスをなかなか作り出せず、イバン・ラキティッチのゴールで辛くも勝利している。

 対するレアルは、下位に沈むマジョルカに押し込まれる時間もあった。序盤から積極的なマジョルカにボールを握られたが、百戦錬磨のスター軍団は試合の要所で得点を決めた。ボール保持率でもシュート本数で大きく上回わらなくても、相手より多くゴールを奪えばそれでいい。レアルの強さを象徴するような勝利だった。

 レアルにとってはカゼミーロの出場停止がプランに大きく影響しただろう。今季のリーグ戦でカゼミーロが欠場したバレンシア戦とビルバオ戦はともに引き分けている。この試合では中盤の底にルカ・モドリッチとフェデリコ・バルベルデが並んだが、いつもと異なるオーガナイズに慣れるまでは少し時間を要した。

ゴールが遠いマジョルカ

 マジョルカはリーグ再開後ここまですべて中2日で3試合を戦ってきたが、レアル戦には中4日で臨んでいる。ビジャレアル戦やレガネス戦の試合途中でも使った3バックで臨み、久保建英はアンテ・ブディミルと2トップで並ぶ形でプレーしている。

 この試合でも久保はマジョルカの攻撃の中心だった。両チーム最多の5回のドリブルを成功させ、チームトップの3本のシュートを記録している。得点の匂いがする数少ない選手の一人といっていいだろう。

 特筆すべきはファウルの多さ。この試合では両チーム最多タイの5つのファウルを受け、試合終盤にはフェルラン・メンディとトニ・クロースのイエローカードを誘発している。前節でも同様に2枚のカードを引き出していることからも、激しいマークに遭っていることがわかる。マークの激しさは、レアルの選手から認められている証とも言えるかもしれない。

 久保の奮闘もむなしく、マジョルカはこの日も無得点に終わった。リーグ再開後の4試合で奪ったゴールは、レガネス戦でサルバ・セビージャが決めたFKのみ。1試合消化が少ない17位(残留圏)のエイバルとの勝ち点差は3ポイントとなっており、7試合を残して残留へは黄色信号が灯っていると言えるだろう。

レアル復帰への道筋

 久保の来季の移籍先は引く手あまたのようだ。ただ、レアルでプレーするために乗り越えるべき壁はあまりにも分厚く、高い。

 2試合連続で先発したレアルのヴィニシウスはジネディーヌ・ジダン監督の期待に応えた。久保の1歳上のブラジル人アタッカーは、モドリッチのパスを受けてチップキックで先制ゴールを決めている。約5分後にはカリム・ベンゼマからのリターンに抜け出してシュートを放ったが、これは惜しくもクロスバーに直撃。試合を通じてマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍だった。

 この試合に途中出場したマルコ・アセンシオはプレシーズンで負った膝の大ケガから復活。バレンシア戦ではいきなりゴールを決めた。マジョルカで2シーズンプレーした経験のあるアセンシオは、久保にとってモデルケースになるだろう。

 アセンシオは17歳で当時2部だったマジョルカに期限付き移籍している。1年目はわずか1ゴールだったが、2年目に6得点をあげ、翌年にはエスパニョールにステップアップして1部でアシストを量産。20歳からレアルのトップチームでプレーしている。

 久保は2017年、15歳のときにJ1デビューを飾った。この年はJ3を主戦場にプレーし、翌年は横浜F・マリノスへの期限付き移籍も経験。19年シーズンは開幕からFC東京の主力として活躍し、18歳になると同時に活躍の場をスペインに移した。

 久保は今月に19歳になった。同時期にアセンシオはエスパニョールでアシストを量産している。このシーズンのエスパニョールは今季のマジョルカ同様に残留を争っており、チーム状況は似ている部分も多い。アセンシオが4得点10アシストを挙げて残留に導いたのに対して、久保はここまで2得点3アシスト。単純な比較はできないが、「高評価」で生き残れるほど甘くはない。果たして久保は残りの7試合で、チームを残留に導く活躍を見せることができるだろうか。

(文:加藤健一)

【了】

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