ユベントスに制御不能の男あり。優勝確実な理由は…。レッチェ戦で誇示した“総合力”の高さ

セリエA第28節、ユベントス対レッチェが現地時間26日に行われ、4-0でホームチームが勝利している。退場者を出した相手に苦戦を強いられたユベントスであるが、後半の選手交代が的中して流れが変わり、見事勝ち点3を掴んだ。選手個々のパフォーマンスも良さそうで、優勝への可能性もグッと高まっている。(文:小澤祐作)

2020年06月27日(Sat)11時39分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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10人の相手に大苦戦

ユベントス
レッチェ戦のスターティングメンバー

 シモーネ・インザーギ監督の下、大躍進を見せる2位ラツィオはリーグ再開後の初戦となったアタランタ戦を2-3で落とした。この結果により、首位ユベントスとの勝ち点差は第27節を終了して「4」にまで広がっている。

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 セリエAの9連覇にまた一歩前進したユベントス。しかし、ラツィオが敗れたことによりプレッシャーから解放されたのか、現地時間26日に行われた第28節のレッチェ戦では、少し緩いゲームへの入りを見せてしまった。

 お馴染みの4-3-3で試合に挑んだユベントスは、戦前の予想通り残留争いに苦しむ相手に対しボールを長い時間保持。しかし、5-3-2の形で自陣にブロックを築くレッチェの守備を前に、攻撃の勢いはまったく加速せず、可能性のないパス回しを繰り返す時間が増えていた。

 反対に、MFヤコポ・ペトリッチョーネを中心にパスを展開するレッチェに押し込まれる時間帯も。とくに右サイドバックに入ったDFファン・クアドラードは立ち上がりから集中力を欠いた軽率なプレーが目立ち、15分には自陣でのミスからMFマルコ・マンコースにあわやというシーンを作られている。ユベントスになかなかエンジンはかからなかった。

 もちろん、レッチェの守備も巧みだった。5-3-2の5と3は非常にコンパクトで、ボールホルダーに対し的確なアプローチを敢行。アタッキングゾーンを自由に動くFWパウロ・ディバラへのパスコースを確実に消し、彼を低い位置に落とすことでゴールから遠ざけるなど、集中力の高いプレーを継続した。自陣でのビルドアップはやや不安だったが、全体的に歯車が噛み合っていたのは明らかだった。

 と、戦力的には劣るレッチェを前に攻撃の糸口を探り切れなかったユベントスは、チャンスらしいチャンスを生み出せず。31分にはDFファビオ・ルチオーニが退場となりレッチェは10人での戦いを強いられたものの、ユベントスはその好機を前半のうちにモノにすることはできなかった。結局、45分間を0-0で終えるなんとも渋い展開となった。

D・コスタの投入で怒涛のゴールラッシュ

ドウグラス・コスタ
【写真:Getty Images】

 ただ、前半を無得点で終えたユベントスだが、後半は全く違う姿を見せた。マウリツィオ・サッリ監督は52分という早い時間にMFアドリアン・ラビオを下げてFWドウグラス・コスタを投入。結果論にはなるが、この交代策は見事に的中したと言えるだろう。流れが劇的に変わったのだ。

 その交代直後、ユベントスはレッチェの自陣での軽率なミスを見逃さず、ディバラがゴールをゲット。ようやく均衡を破ると、その後は水を得た魚のようにチーム全体が躍動し、格下を一気に突き放しにかかった。

 右ウイングに入ったD・コスタは持ち味であるドリブルを遺憾なく発揮し、レッチェのサイドを攻略。引いた相手に対し個でDFを剥がすことにより、相手守備陣全体の綻びを生まれさせた。彼の仕掛ける積極性、ドリブルの威力、スピードなどは、10人とただでさえ苦しいレッチェにとって非常に厄介な存在であったと言える。

 攻撃の勢いに変化が生じたユベントスは62分にFWクリスティアーノ・ロナウドがPKを獲得し、これを自ら沈めた。リードを2点に広げられたレッチェにとってこの1点は、5点を奪われたほどの重みがあったと言えるだろう。この時点で降格圏に沈むチームに、勝ち点獲得の望みはなかった。

 だが、その後もユベントスは容赦なかった。躍動するのはまたしてもD・コスタ。74分にはDFブライアン・ベラ、MFアントニン・バラクに囲まれながらも見事なダブルタッチで打開し、最後はMFアーロン・ラムジーの決定機を演出した。なんでもないところから個で違いを生み出す力はまさに圧巻。レッチェからすると、もはやこの男は制御不能であった。

 ユベントスはその後、FWゴンサロ・イグアインとDFマタイス・デリフトがそれぞれ得点を奪った。前半は無得点に終わったが、後半は一気に4点を奪うなど力の差を見せつける形に。DFレオナルド・ボヌッチを中心とした守備陣もしっかり「0」に抑えている。内容が悪くても勝ち点3をもぎ取る。相手が10人であったとはいえ、ユベントスの試合巧者ぶりが明らかとなったゲームであった。

優勝へのカギは?

 さて、ユベントスはこのレッチェ戦に勝利したことで2位ラツィオとの勝ち点差を暫定的ながら「7」に広げている。先述した通り、セリエA 9連覇の可能性は限りなく高いと言えるだろう。

 今後のユベントスの日程を見ると、ミラン、アタランタ、ラツィオ、ローマと癖のあるチームとの対戦が残っている。中でもアタランタとラツィオとのゲームに関しては、今季のスクデットを占う上で非常に重要なゲームとなるはずだ。

 一方で2位のラツィオは、ミラン、ユベントス、ナポリとの対戦こそ残っているが、その他のカードはほとんどが格下とのもの。もちろん試合が始まれば何が起きるかわからないが、現時点での単純な戦力で考えると今後も安定して勝ち点3を奪う可能性が非常に高いと言える。

 と、両者の今後の対戦カードを見ても、まだまだ優勝争いは何が起きるかわからない。首位に立っているとはいえ、ユベントスも当然ながら勝ち点を取りこぼす可能性も十分にある。

 しかし、両者の決定的な違いはやはり選手層の厚さだ。

 今季のラツィオの攻撃力は非常に魅力的で、FWチーロ・インモービレやMFセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチらの存在感はセリエAの中でも際立っている。しかし、ラツィオはベンチの層が厚いとは言えず、主力メンバーはかなり固定されている。ヨーロッパリーグ(EL)を早々に敗退したことでリーグに専念はできるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今後は過密日程が続く。主力メンバーがほぼ変わらない中、どこまで強度の高いプレーを示せるかは未知数である。

 一方でユベントスの選手層は、ご存知の通り十分に厚い。DFアレックス・サンドロの不在はかなり痛いが、この日躍動したD・コスタのように途中出場でも流れを変えられる存在がおり、ラムジーやFWフェデリコ・ベルナルデスキらの調子も上がってきている。イグアインもこの日ゴールを奪うなど、決して状態は悪くなさそう。サッリ監督が主力メンバーを固定する傾向にあるとはいえ、ベンチに入っている選手のコンディションがこれだけ整っていれば、厳しいスケジュールも十分に乗り越えていけるはずだ。あとはこの状態を維持できれば、優勝はほぼ間違いないだろう。

 コッパ・イタリアでは優勝を逃したが、レッチェ戦を見る限りチームの調子は確実に上がってきている。前人未到のリーグ9連覇へ。ユベントスはここからも突き進む。

(文:小澤祐作)

【了】

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