マンUは「負ける気」がまったくしない。蘇る強き姿、一体なにが生まれ変わったのか?

プレミアリーグ第34節、アストン・ビラ対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間9日に行われ、0-3でアウェイチームが勝利している。ユナイテッドはこれでリーグ再開後4回目となる3点差以上での白星。攻守両面での好調ぶりを再び発揮した。赤い悪魔は何が大きく変わったのだろうか。(文:小澤祐作)

2020年07月10日(Fri)11時31分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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またも3発快勝

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【写真:Getty Images】

 アストン・ビラに3-0。マンチェスター・ユナイテッドは、この試合もいつもと同じスターティングメンバーで挑み、いつもと同じ圧倒的な強さを誇示した。目標であるチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に向けて、目の前の視界はどんどん晴れている。

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 敵地に乗り込んだユナイテッドは、立ち上がりこそ相手にペースを握られた。アストン・ビラの積極果敢な守備に手を焼き、ビルドアップを確実に阻止されたのである。相手のカウンターからフィニッシュに繋げられる場面もあった。

 しかし、徐々に相手のペースに慣れると、自分たちのボール回しにも自然と余裕が生まれ、流れを引き寄せる。アストン・ビラ全体を深い位置まで押し込むなど、ゴールへの可能性というものを感じさせたのだ。

 そして27分、MFブルーノ・フェルナンデスがペナルティエリア内でDFエズリ・コンサに倒されてPKを奪取。これを背番号18自らが沈め、ユナイテッドが貴重な先制ゴールを挙げたのである。

 ただ、アウェイチームは当然ながら1点では満足しない。前半ATには絶好調のFWメイソン・グリーンウッドが見事なシュートを叩き込み2-0。さらに57分にはMFポール・ポグバがGKホセ・マヌエル・レイナを無力化する鮮やかなコントロールショットを沈め、3-0とするなど、一気にギアを上げてアストン・ビラを突き放したのである。

 その後、オーレ・グンナー・スールシャール監督は交代枠5枚をしっかりと使い、主力を休ませながら試合を確実にクローズ。4試合連続での3点差勝利を挙げ、CL圏内の4位レスターとの勝ち点差をわずか「1」にまで縮めることに成功している。

「試合開始から20分~25分くらい経ってテンポを掴めた。後半のプレーは非常によく、クリーンシートで終えることができた。後半のプレーにはとても満足している。チャンスを作れて、相手を我々の陣内から遠ざけられた」とはスールシャール監督の言葉。満足感というものが非常に伝わってくるが、それ以上に今のユナイテッドは「負ける気」がまったくしない。本当に強い姿が戻ってきたと言えるだろう。

攻撃陣の美しいハーモニー

 ユナイテッドはリーグ再開後の5試合で実に15得点を奪っている。中断前は3点差以上で勝利を収めた試合がチェルシー戦、ニューカッスル戦、ノリッジ戦、ワトフォード戦の4試合となっていたが、再開後はすでに4試合で3点差以上の勝利を収めている。攻撃陣はまさに絶好調だ。

 その立役者はやはりB・フェルナンデスと言えるだろう。何度もこの男については紹介してきたが、やはりユナイテッドの攻撃陣を語る上でポルトガル代表MFの名前は絶対に外せない。

 とにかく現在のユナイテッドはボールが良く動く。自陣からのビルドアップはもちろん、相手陣内ゴール前でも横に縦にと変芸自在にパスを回している。以前までのユナイテッドはここで手詰まり状態となってしまうことが多かったのだが、今ではB・フェルナンデスがおり、彼が中心となって崩せるようになった。

 B・フェルナンデスはキックの質が高い。それは彼の自慢でもある。だが、そのキックの質にアイデアと意外性が肉付けされているのが、怖さを引き立てている要因と言えるだろう。

 アストン・ビラ戦の先制弾に繋がるPK奪取は、まさに意外性が生んだものだった。B・フェルナンデスがボールを触る直前、左サイドにはフリーのFWマーカス・ラッシュフォードがいた。ほとんどの選手であれば、そのままサイドにボールを流していただろう。ただ、彼はそこでターンを選択。相手が足を出してくるとわかっていたからこその判断だった。

 また、B・フェルナンデスがボールを持つと周りの選手の動きが自然に活発になる。それは、彼から良質なボールが出てくる可能性が高いからであり、何よりポルトガル代表MFへの信頼が厚いからだ。FWの選手は100回動いて1回でもパスが来ればよいと言われることがあるが、B・フェルナンデスの場合は恐らく80回ほどはボールを出してくれる。彼はそういう選手なのだ。

 ユナイテッドの攻撃陣は基本的に大きく立ち位置を変更しないが、B・フェルナンデスに関しては、ポジション柄は当然あるが、幅広いエリアをカバーしている。とにかくボールホルダーとの距離感が抜群で、常にサポートを怠らない。その動きがあることでボールホルダーは選択肢の幅が広がり、よりプレーしやすくなるのだ。彼の貢献度は、ボールを持っていない部分でも絶大。まさに怪物だ。

守備の安定感にも変化が

 さて、ここまでは攻撃面にフォーカスしてきたが、ユナイテッド守備陣の奮闘ぶりも見逃せないポイントだ。アストン・ビラ戦もクリーンシートで終えており、これでリーグ再開後の5試合で3回目の無失点試合となった。中断前はディフェンスの軟弱さを指摘されることもあったが、現在は非常に強固と言えるだろう。

 では、ユナイテッドの守備はどう変化したのか。もちろんGKダビド・デ・ヘアの復調なども大きいが、それ以外の理由は二つあると見る。

 一つは、中盤での不用意なロストが少なくなったこと。ポグバ、MFネマニャ・マティッチとボールを持てる二人が中盤底におり、さらにB・フェルナンデスも絡むことでビルドアップがより円滑となった印象が強い。以前は自陣低い位置でボールを失ってショートカウンターという場面も散見されたが、今では改善されている。また、確実にフィニッシュまで持ち込むことで相手にカウンターの機会を与えないのも、守備陣を支える要因と言えるのではないか。

 二つ目は、やはりポグバとマティッチの存在が大きい。彼らのバランス、攻守の切り替えの早さは、相手の攻撃の芽を早い段階で摘むには欠かせない要素であると言える。

 前半戦のユナイテッドはMFスコット・マクトミネイとMFフレッジのコンビが基本。彼らは豊富な運動量を活かして果敢に相手を潰す守備を得意としており、カウンターの起点となる効果的な働きを見せていた。ただ、それが彼らの持ち味でもあるのだが、やや動き過ぎてスペースを空けてしまうことがあったのも事実で、背後、あるいは脇のエリアを突かれることも少なくなかった。

 一方のポグバとマティッチは基本的にポジショニングで勝負するタイプであり、攻守のバランスを整えるには最適なコンビだ。スピード不足は否めないものの、フィジカルは十分であり、何より簡単に飛び込むことがないので相手に楽に突破を許すことがない。マティッチはこの日、相手の攻撃の核であるMFジャック・グリーリッシュからボールを奪えずとも、しっかりとサイドに追いやりゴールから遠ざけるなど、賢い守備を見せていた。こうした働きを見せることができるのは、彼らの大きなストロングポイントである。

 ユナイテッドは確かに生まれ変わった。残り試合も魅力的なゲームを我々に披露してくれるだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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