久保建英はなぜ存在感を消したのか? バルサ・レアル戦の輝きはなく…降格の危機に瀕するマジョルカを救うには

リーガエスパニョーラ第36節、セビージャ対マジョルカが現地時間12日に行われ、2-0でセビージャが勝利した。過密日程の中で先発出場が続く久保建英は見せ場を作ることができなかった。残り2試合となったリーグ戦で、久保は降格の危機に瀕するマジョルカを救うことができるのだろうか。(文:加藤健一)

2020年07月13日(Mon)9時28分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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主導権を握ったセビージャ

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【写真:Getty Images】

 リーグ戦再開からちょうど1か月。マジョルカはこのセビージャ戦が9試合目となった。セビージャは目下12戦無敗の3連勝中で、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権をほぼ手中に収めていた。戦前の予想通りに試合の主導権を握ったのはセビージャで、マジョルカは押し込まれる展開が続いた。

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「クリーンシート(無失点)を保つことで、勝ち点を積み上げるために多くの可能性を与える」。マジョルカのビセンテ・モレノ監督は試合前に守備の重要性を説いていたように、マジョルカはGKマノロ・レイナを中心にセビージャの攻撃をなんとか凌いでいた。

 しかし、スコアは意外な形で動いた。ルーカス・オカンポスのクロスをセルヒオ・レギロンがヘッドで落とすと、このボールがマジョルカのアレハンドロ・ポソの手に当たった。プレーは続行されたが、数十秒経ってから主審はプレーを止めてOFR(オン・フィールド・レビュー)を行う。ポソからしてみれば予測できなかったが、ボールに当たった腕が不自然に高い位置にあったことでハンドの反則となり、セビージャにPKが与えられた。

 オカンポスがPKを決め、セビージャは41分に先制。後半はフレッシュな選手を入れながら相手に主導権を渡さず、相手が捨て身で前に出たところをひっくり返した。GKボノがパントキックで前線にフィードを送ると、ヨセフ・エン=ネシリがポソを振り切り、間合いを詰めるGKレイナの頭上を越えるループシュートでゴールネットを揺らした。

久保建英が封じられた理由

 久保建英は力尽きたのだろうか。1か月で9試合すべてに先発しており、さすがに疲労がないはずがない。

 久保が苦しんだというよりは、チーム全体としてまったく機能していなかった。それほど、この日のセビージャはアグレッシブに、そして効果的なプレッシングでマジョルカを押し込んだ。ボールを失えばすぐさまボールホルダーに寄せる。センターバックのジュル・クンデとジエゴ・カルロスは降りてくる相手に自由を与えず、アンカーのフェルナンドが空いたスペースを埋めている。フレン・ロペテギ監督率いるチームに隙はなかった。

 セビージャの左サイドバックを務めたレギロンは、久保と同じくレアル・マドリードから貸し出されている。豊富な運動量と球際の強さでサイドの主導権を掌握し、先発メンバー中トップとなる91.9%のパス成功率を記録している。

 高い位置を取るレギロンに対して、久保がプレスバックしきれない場面もあった。その分、ポソにかかる守備の負担は増え、ポソは低い位置でプレーせざるを得なかった。マジョルカがボールを奪っても久保とポソの距離感は悪く、2人で崩す場面は少なかった。

 マジョルカからしてみれば、ボールを奪ってもすぐに寄せられる。ボールを繋いでも、久保は敵陣でなかなか前を向かせてもらえなかった。久保が敵陣でキープできないので、右サイドバックのポソがオーバーラップできる場面も限られた。相方のサポートを失った久保は孤立し、存在感を失った。

崖っぷちに立たされたマジョルカ

 久保に最大の見せ場が訪れたのは74分。右サイドでボールを受けると、1人をかわしてボックス内のアレクサンダル・トライコフスキに預ける。そのリターンをもらった久保が右足を振り抜いたが、シュートは相手DFにブロックされた。マジョルカは10分後に追加点を奪われ、その直後に久保はベンチに退いている。

 バルセロナ戦のようにカットインからフィニッシュに持ち込むにはスペースがなく、レアル戦のようにドリブルで突破しようとすると疲労がそれを阻んだ。久保を封じられたマジョルカは効果的にチャンスを作ることができなかった。

 マジョルカはレガネスに抜かれて19位に後退した。1試合消化が少ないアラベスとの勝ち点差は3ポイントだが、レガネスとアラベスとは直接対決の対戦成績で下回っているため、順位で上にいくためには勝ち点で上回らなければいけない。直接対決で勝ち越しているセルタとの勝ち点差は4ポイントあり、残り2試合で残留を達成するにはかなり厳しい状況に追い込まれていると言えるだろう。

 とはいえ、マジョルカにもチャンスは残っている。リーグ戦再開後に6敗を喫したが、相手はすべて現在7位以内の上位陣だった。一方でレガネスには引き分けたが、残留を争うセルタと12位のレバンテには勝利している。残す2戦の相手は10位のグラナダと11位のオサスナ。マジョルカにとってはもちろん簡単な相手ではないが、今季のトップ4(レアル、バルセロナ、アトレティコ、セビージャ)に比べれば望みはある。

 エースはチームが苦しい時こそ結果を出す。残留を争うセルタ戦で久保は4得点に絡む活躍を見せ、絶対に落とせないレバンテ戦では貴重な追加点となるゴールを試合終盤に決めた。マジョルカが逆転で残留を勝ち取るためにも、久保にはやってもらわなければいけない仕事があとひとつ、ふたつ残っている。

(文:加藤健一)

【了】

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