ユベントスの中心は今やC・ロナウドではない。定められた狙い、またもドローに終わった理由とは?

セリエA第33節、サッスオーロ対ユベントスが現地時間15日に行われ、3-3のドローに終わった。これでユベントスはリーグ戦3試合未勝利。失点数は直近3試合で「9」にも上っている。チームとしての課題、そしてサッスオーロに苦戦した理由はどこにあるのだろうか。(文:小澤祐作)

2020年07月16日(Thu)11時36分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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相手の勢いに耐え切れず3戦未勝利

ユベントス
【写真:Getty Images】

 セリエA 9連覇がほぼ確実視されているユベントスであるが、ここ最近の戦いぶりは決して褒められたものではない。第31節ではミランに2-4と大敗しており、前節もアタランタに大苦戦を強いられて2-2で試合を終えている。先述した通りリーグ優勝の可能性が十分に高いとはいえ、サポーターなどはこの出来に満足してはいないだろう。

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 そんなユベントスは3試合ぶりの勝利を目指し、現地時間15日にセリエA第33節でサッスオーロと対戦している。しかし、イタリアの絶対王者はここでも不安定な戦いぶりを披露してしまった。

 試合の入りは悪くなかった。ユベントスは全体のラインを高く保ち、最終ラインから丁寧にボールを繋いでくるサッスオーロを制御。さっそく自分たちのペースに持ち込むと、5分にはDFダニーロ、そして12分にはMFミラレム・ピャニッチのスルーパスに抜け出したFWゴンサロ・イグアインがゴールネットを揺らすなど、いきなり2点のリードも得ている。

 ただ、その後は試合の流れが一気に逆転。強敵相手に一切引くことなく、あくまで自分たちのサッカーを貫いてきたサッスオーロに対し、ユベントスは最終ラインがズルズルと下がってしまった。すると、29分にMFフィリップ・ジュリチッチに1点を献上。その後も何度かピンチを迎え、GKヴォイチェフ・シュチェスニーのセーブに救われる場面も目立った。

 何とか2-1で前半を終えることができたユベントスだが、後半はもっと苦しんだ。立ち上がりの51分にはFWドメニコ・ベラルディに直接FKを沈められ同点に追い付かれると、そのわずか3分後にはFWフランチェスコ・カプートに逆転弾を献上。サッスオーロ攻撃陣の強烈な波に、ユベントス守備陣が築く防波堤は耐えきることができなかったのだ。

 ユベントスは64分のDFアレックス・サンドロのゴールにより何とか同点に追いついた。しかし、追加点は遠く、試合は3-3のまま終了。これで同チームはリーグ戦3試合未勝利となった。

「非常に良い時間もあったが、それが難しい瞬間と混在していた。アタランタやサッスオーロは非常に調子が良いチームであることも忘れるべきではない。浮き沈みの激しい問題を解決しないといけない」とは試合後のマウリツィオ・サッリ監督の言葉。過密日程による疲労の影響もあるのは事実だろうが、チームは厳しい状況にあると見ていいだろう。

ユベントスが狙われたのは?

 3試合未勝利となったユベントスは、守備に問題を抱えている。失点数は直近の3試合だけで実に「9」にも積み上がっており、第33節終了時点の総失点数は「35」。これはすでに昨季の総失点数を上回っており、過去5シーズンで見ても最多の数字となっている。

 このサッスオーロ戦では、実に22本ものシュートを浴びた。枠内に飛ばされたのはその中の11本。うち3つは相手のゴールとなっているが、守護神シュチェスニーのファインセーブがなければあと3点は失っていたかもしれない。

 では、なぜユベントスはここまでサッスオーロに押し込まれたのか。キーワードは「ブレーズ・マテュイディ」だ。

 33歳のベテランMFは、その豊富な運動量と尋常ではないカバー範囲を武器に、主に守備面で貢献できる選手。FWクリスティアーノ・ロナウドはまったくと言っていいほど守備をしないが、その分も的確にカバーしているのが、このフランス人MFである。ユベントスにとっても大きな役割を担っている存在と言っていいだろう。

 しかし、サッスオーロ戦ではこのプレースタイルが裏目に出てしまったと言える。それが最もわかるのが、55分の場面だ。

 GKアンドレア・コンシーリから丁寧にビルドアップしたサッスオーロは、中盤底に入ったMFフランチェスコ・マニャネッリにパスを送る。そこへプレスをかけたのはマテュイディだったのだが、この時C・ロナウドが前線に残っていたため、サッスオーロ右サイドバックのDFメルト・ミュルドゥルがフリーに。そこへパスを展開されマテュイディのプレスが無力化されると、ボールを受けたミュルドゥルは本来マテュイディがいるはずの内側にドリブル。自身の選択肢を広げ、ユベントス守備陣を押し込んだのである。

 このように、ボールを支配することでマテュイディを引き出し、その空いたスペースを有効活用するサッスオーロの狙いは見事にハマっていた。実は上記した場面以外にも32分、36分、43分とフランス人MFの背後、あるいは脇のスペースを使われてピンチを招いている。

 もちろん、マテュイディ一人の問題ではない。C・ロナウドが少しでも守備に気を配れば防げたシーンはあったし、ユベントスの中盤と最終ラインの距離感があまり良くなったのも事実。チームとして改善できなかったのは反省点と言えるはずだ。

 あとは単純にボールの失い方が悪い。前半立ち上がりにはDFマタイス・デリフトのボールロストからカウンターを受けており、51分のベラルディのFKを生む原因となったのはMFロドリゴ・ベンタンクールの自陣深い位置でのボールロストだった。繋ぐ意識が高いのは十分だが、セーフティにいくべきか否かの判断は的確に行いたいところである。

攻撃面で重要なのは…

パウロ・ディバラ
【写真:Getty Images】

 一方の攻撃陣はこの日、計21本のシュートを放ち3得点を奪った。しかし、うち2点はセットプレーによるもので、流れの中から得点の可能性を感じたのはほんのわずかだったと言える。事実、枠内シュートはたったの5本のみなのだ。

“サッリズム”はここにきても未だに浸透していない印象が強い。確かにボール支配率は高いが、崩し切るまでのアイデアはどうか。不十分だ。ゴール前では横パスが増え、ある意味で“賭け”とも言えるミドルシュートが多い。個で点を取り切る強さは確かにあるが、そうなるとサッリ監督のいる意味はどこにあるのか。

 サッスオーロ戦はイグアイン、C・ロナウド、FWフェデリコ・ベルナルデスキを最前線に並べたが、攻撃のパターンはほとんどがクロス。12分のピャニッチからイグアインへ絶妙なスルーパスが通りゴールに結びつけたシーンは理想的な形だったが、その他にサッスオーロ守備陣を大きく震え上がらせるような崩しは見られなかった。イグアイン、ベルナルデスキ、C・ロナウドの3人は基本的に足元でボールを受けたがる傾向にあるため、スピードもなかなか上がらなかった。

 ただ、57分にFWパウロ・ディバラが投入されてからは流れが一瞬変わった。点取り屋でもありながらチャンスメークもできるレフティーは、相手のライン間でボールを受けては味方を的確に活かす。ややボールロストが多かった印象もあるが、ボックス内で勝負できるC・ロナウド、ディバラと同じく途中出場となり、元気有り余ったプレーで果敢にボックス内へ飛び込んでくるMFアドリアン・ラビオへ正確なボールを送り届けた。

 勝利が欲しいゆえに焦ったプレーも見られたのは事実で、冷静さを保つメンタルは伸ばしていきたいところ。だが、改めて今のユベントスの攻撃はディバラで成り立っているのだな、と感じられた試合でもあったのは事実。いまや中心はC・ロナウドではない。

 苦戦が続くユベントスだが、やはりサッリ監督の問題は大きい。味方とボールを基準としたゾーンディフェンスは失点数が重なるばかりで、この日もディバラやFWドウグラス・コスタらを途中でピッチに送り出したが、交代も投げやり感はどうも否めなかった。このままでは来季、彼の居場所はないかもしれない。

(文:小澤祐作)

【了】

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