チェルシー崩壊はなぜ? お手上げだった二人の怪物とは…リバプールが誇示した王者の強さ

プレミアリーグ第37節、リバプール対チェルシーが現地時間22日に行われ、5-3でホームチームが勝利している。リバプールは本拠地アンフィールドではこれでリーグ戦3年連続無敗ということになった。チェルシーも5失点を喫するほどの内容ではなかったが、結果的には守備が崩壊。一体なぜ。(文:小澤祐作)

2020年07月23日(Thu)11時35分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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前半だけで大量3得点

リバプール
【写真:Getty Images】

 今季のプレミアリーグ制覇を早々に決めたリバプールは、モチベーションの低下や過密日程による疲労の影響で、ここ最近のパフォーマンスレベルが落ちている印象が否めなかった。直近2試合ではバーンリーに引き分け、アーセナルに1-2で敗れるなど、らしくない姿を見せている。

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 しかし、現地時間22日に行われたプレミアリーグ第37節のチェルシー戦では、リバプールらしい破壊力を誇示。勝って優勝セレモニーを迎えたいという、どこかそんな気持ちがピッチ上に表れていた。

 試合の立ち上がりはチェルシーペースだったと言える。王者相手に強気の3バックで挑んだアウェイチームはコンパクトな守備から縦に早い攻撃を展開。ウイングバックも高い位置を取り、相手陣内では細かいことは行わず、最前線のFWオリヴィエ・ジルー目掛けたシンプルなクロスでチャンスを狙った。

 DFリース・ジェームズとDFマルコス・アロンソの両ウイングバックは対峙するDFアンドリュー・ロバートソンとDFトレント・アレクサンダー=アーノルドに仕事を与えないという意味でも重要な役割を担っていた。ただマークに張り付くだけでなく、勇気を持って高い位置を取ることで相手の強力な両サイドバックを深い位置まで下げ、必然的にゴールから遠ざける。序盤はこれがまずまずの効果を発揮していた。

 しかし、時間が進むにつれ徐々にリバプールにもテンポが生まれると、ここまで49失点を喫していたチェルシー守備陣に不安が。相手の快速両ウイングに3バックの脇を突かれ、スピードで剥がされる。最後の局面で何とか耐えてはいたが、やはり3バックにそのまま3トップを当てられると分が悪かった。

 そして23分に失点。自陣でボールを失いリバプールに繋がれると、最後はMFナビ・ケイタが強烈なミドルシュートを許し、ゴールネットを揺らされた。

 これで勢いは完全にリバプールに。38分にはアレクサンダー=アーノルドに直接フリーキックを沈められ、43分にはセットプレーの処理ミスを突いたMFジョルジニオ・ワイナルドゥムにゴールを許すなど、チェルシーは前半だけで大量3失点。大きく崩されたわけではなかったが、しっかりとチャンスを仕留めてくるリバプールの攻撃力を見せつけられる結果となった。

プリシッチの投入で流れに変化も…

 前半のうちにジルーのゴールで1点を返していたチェルシーは、55分にも失点。アレクサンダー=アーノルドの見事なクロスを最後はFWロベルト・フィルミーノに押し込まれた。スコアは1-4。この時点でチェルシー勝利の可能性はほとんどなかった。

 こうした状況で、フランク・ランパード監督は59分に一気に3枚を入れ替える大胆な采配を敢行。ピッチに送り出されたのはFWタミー・エイブラハム、MFクリスティアン・プリシッチ、FWカラム・ハドソン=オドイだった。

 結果論にはなるが、これで流れは大きく変わった。ただ、チームとして攻撃の形に変化を加えたわけではない。選手個々による力が大きかったのだ。とくに絶大な存在感を示したのはプリシッチだった。

 アメリカ人MFは投入直後にリバプール守備陣4人を抜き去ってエイブラハムのゴールをお膳立て。74分には自らゴールを奪うなど、チームに2点をもたらして一気にリバプールに迫ったのである。

 ホームチームの守備にも問題があったのは事実。とくにDFジョー・ゴメスの対応は決して褒められたものではなく、カバーリングの質も1対1の強度も高くなかった。74分に喫した3失点目はJ・ゴメスとDFフィルジル・ファン・ダイクの2枚が重なってしまい、R・ジェームズに突破を許したことが原因となって生まれたもの。早々にリードを広げたことでリバプール守備陣にどこか油断のようなものが芽生えてしまったのは明らかだった。

 それでも最後に仕留めることができるのが、リバプールの強さ。84分に得意のカウンターから最後はMFアレックス・オックスレイド=チェンバレンにゴールが生まれて再びリードを2点に広げた。試合はこのまま5-3で終了している。

 なお、日本代表MFの南野拓実は試合終盤に出場。ボールキープからFWディボック・オリギにパスを出し、カウンターの起点となったシーンはあったが、その他に目立ったプレーはなかった。

チェルシーお手上げの二人

リバプール
【写真:Getty Images】

 チェルシーは大量5失点を喫したが、先述した通りそこまで大きく崩されたわけではなかったのが事実。FWモハメド・サラーやFWサディオ・マネの走力に脅かされるシーンがあったのは確かだが、最終ラインの動きを見ているとマークの受け渡し等にも大きな迷いは見受けられなかった。GKケパ・アリサバラガにはもう少し奮闘してもらいたかったところだが、5失点を喫するほどの内容だったかと言えば、決してそうではない。

 しかし、やはりリバプールの選手の技術は半端ない。ワンチャンスをしっかりとモノにしてくるあたりは王者たるに相応しく、なんでもないところからゴールを生み出す力は絶大だった。サラーやマネらが得点を奪えずとも5回もゴールネットを揺らせてしまうあたりに、改めて総合力の高さというものを感じた。

 なかでも脅威だったのはアレクサンダー=アーノルドとロバートソンの両サイドバックだ。チェルシーはマネとサラーという強力なウイングに得点を許さなかったが、このDF二人はどうにも止められなかった。

 アレクサンダー=アーノルドはこの日、特別高いポジションを取れていたわけではない。対面するM・アロンソが睨みを利かせていたし、試合後のデータを見てもそれは明らかだ。しかし、1得点1アシストを記録するなど、攻撃面での存在感は絶大であった。

 とくにチームの4点目を演出したクロスは圧巻。対峙するM・アロンソもしっかりと帰陣していたが、アレクサンダー=アーノルドは深みを取らず、スペイン人DFの手前からピンポイントクロスをフィルミーノへ繰り出した。チェルシー守備陣にとってはお手上げ。対応云々の話ではなく、ただただ右足一本でゴールに結びつけられたと言える。

 反対のロバートソンは、アレクサンダー=アーノルドよりも高い位置を取っているというデータが出ている通り、何度も敵陣深くへ侵入。対峙するR・ジェームズを押し込んでチーム全体のラインを上げるなど、効果的なプレーを披露した。ドリブル成功数はマネに次ぐチーム内2位の3回を記録するなど、こちらも攻撃面での存在感は圧巻だった。

 疲労の溜まる試合終盤、ロバートソンは全力疾走でMFジョルジーニョを置き去りにし、最後はオックスレイド=チェンバレンのゴールをお膳立て。どこにそんな体力が残っているのか、という圧倒的なランニングであった。アレクサンダー=アーノルドと被るが、チェルシーにとって84分という時間帯にこうしたプレーを発揮されるのは、たまったものではない。こちらもお手上げだった。

 今やともに世界最高のサイドバックと称されるアレクサンダー=アーノルドとロバートソン。この二人の活躍なくして、リバプールがトロフィーを気持ちよく掲げられることはなかっただろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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