「マンUはどうしたものか…」プレミア早すぎる来季の展望。優勝争いをする条件は…【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

19/20シーズンのプレミアリーグは30季ぶりとなるリバプールの優勝で幕を閉じた。中断期間の影響で短いオフを経て、9月には新シーズンが開幕する。そこで、今回は早すぎるかもしれないが、来季のプレミアリーグの優勝争いの行方を占う。(文:粕谷秀樹)

2020年07月29日(Wed)10時00分配信

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断
text by 粕谷秀樹 photo Getty Images
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現状に満足するクロップ

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【写真:Getty Images】

「今シーズンのように突っ走れるとは思っていない。来シーズンはわれわれとチェルシー、そしてマンチェスターの2チームの争いになる」

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 リバプールのユルゲン・クロップ監督が展望した。

 現有勢力の比較では、来シーズンもリバプールが優勝候補筆頭だ。“ファビュラス3”ことロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ、モハメド・サラーは衰える年齢でもなければ、移籍を考えているわけでもない。

 アンドリュー・ロバートソンは脂が乗る年齢に差し掛かり、トレント=アレクサンダー・アーノルドは試合を重ねるごとにワールドクラスへと変貌を遂げている。フィルジル・ファンダイクとアリソン・ベッカーも健在だ。

 ただ、激しいプレッシングを基本とするプレースタイルを踏まえると、中盤の層を厚くするべきではないだろうか。ジョーダン・ヘンダーソンは三十路に入った。ジェームズ・ミルナーは来年1月に35回目の誕生日を迎える。ナビ・ケイタやアレックス・オクスレイド=チェンバレンに、ヘンダーソンとミルナーのような気が利いたプレーは期待できない。

 さらに、実質ロバートソンひとりの左サイドバックも補強ポイントだ。いつまでもミルナーに頼っているわけにはいかない。ネコ・ウィリアムズは対人動作、ポジショニングなど、まだトップチームのレベルではない。

 当然、強化担当部門の積極的に動いているが、個人合意に至っていたはずのティモ・ヴェルナーをチェルシーに奪われたように、コロナ禍によってリバプールは補強費の下方修正を余儀なくされている。人件費もかさんできた。

 繰り返すが現有勢力はリーグ屈指、いやいや世界でもトップランクだ。しかし、停滞は後退に直結する。大きなプラスアルファが欲しい。

「わたしは現在のスカッドに100%満足している」

 クロップ監督の発言は真意か、それとも忖度なのか。

チェルシーの急務は…

 リバプールを尻目に、チェルシーが着々と強化を進めている。ヴェルナー、ハキム・ツィエクに続き、カイ・ハフェルツ(レバークーゼン)の獲得も目前に迫っているという。補強禁止のペナルティーによって昨年の夏は誰も獲れず、今年の冬も市場を静観したため、三期分の費用を使えるともっぱらの噂だ。

 しかし、チェルシーが優勝争いに加わるには、一線級のDFも必要だ。マルコス・アロンソはピークを過ぎ、エメルソンはフランク・ランパード監督のプランを理解していない。左サイドバックの質は低い。アントニオ・リュディガーは頼りになるものの、アンドレアス・クリステンセンはパワー不足で、クルト・ズマはなにかにつけてギクシャクしている。センターバックの陣容も胸を張れない。

 そして最大の懸案がGKだ。ミスを頻発するケパ・アリサバラガはチームの信頼を完全に失った。ウィリー・カバジェロは凡庸だ。

 失点のすべてが守備陣の責任ではないが、今シーズンは54失点。トップ10では最多であり、チェルシーより失点を重ねたのはサウサンプトン、エバートン、ニューカッスル、そして最終盤まで降格争いを演じたウェストハム、アストンビラ、ワトフォード、ボーンマス、ノリッジという面々だ。この現実から目をそむけてはいけない

 ペドロ・ロドリゲスのASローマ移籍が濃厚で、ウィリアンの退団も避けられないとはいえ、中盤と前線は豪華な陣容を揃えている。だからこそ、守備陣の強化は急務といえるだろう。放置したままだと、優勝争いからふるい落とされる。

マンCが欠く存在

 マンチェスター・シティも左サイドバックとセンターバックを必要としている。

 バンジャマン・メンディは連戦が続くと筋肉系のトラブルに倒れ、オレクサンドル・ジンチェンコは線が細い。エメリック・ラポルトを除くと、後ろからつなげるセンターバックはいない。ファイナンシャル・フェアプレー違反の処分が大幅に軽減されたシティは、総額1億5000万ポンド(約203億円)ともいわれる大型補強を敢行する予定だ。

「数人、入れ替える」

 グアルディオラ監督もリメイクを示唆していた。補強ポイントが被るチェルシーとともに、市場のメインキャストといって差し支えない。

 ただ、ひとつのサイクルが終わったこともまた事実だ。昨シーズン終了と同時にバンサン・コンパニがアンデルレヒトに去り、ダビド・シルバとは今シーズンでアディオスだ。そしてセルヒオ・アグエロとの別れも徐々に近づいている。

 シティの“三大守護聖人”とでもいうべき彼らを補てんできる選手はカネで買えない。グアルディオラ体制が確立する以前からチームを支えてきた3選手のキャリアが曲がり角を迎えると同時に、シティも新しいフェーズに入っていく。

 リバプールにはヘンダーソン、ミルナー、ファンダイク、アリソンと、リーダーの器といわれるタイプが4人もいる。しかしシティは、率先垂範するタイプを欠いている。この差が縮まらないかぎり、莫大な補強資金を投下してもリバプールには追いつくのは至難の業だ。

マンUに必要なのは…

 ユナイテッドはどうしたものか……。

 やはりオーレ・グンナー・スールシャール監督は力不足だ。チャンピオンズリーグ出場権を獲得したとはいえ、ほぼほぼブルーノ・フェルナンデスの貢献によるものだった。昨シーズンの公式戦10戦無敗も、ポール・ポグバにおんぶにだっこだった。結局、これといったゲームプランをお持ちではないのだろう。選手交代のタイミング、コンディションの良し悪しを見誤るケースも少なくない。

 噂のジェイドン・サンチョ(ドルトムント)を獲得できたとしても、スールシャール監督が続投するのなら、完全復活は夢のまた夢だ。クロップやグアルディオラと伍するには、カリスマ、勝者の哲学、チーム創りのビジョンなど、欠落する部分が多すぎる。ユナイテッドが優勝争いに加わる必要条件は、トップランクの指揮官を招聘することに尽きる。

「監督として必要な要素は専門知識と情熱だ」

 この信条によって、クロップ監督は現在の地位を築いた。スールシャール監督は専門知識でも情熱でも首を傾げざるをえない。

 現状で四強の監督を順位づけすれば、クロップ、グアルディオラ、ランパード、スールシャールの順になるだろう。ここに移籍市場の動きと現有勢力の伸びしろを推測して加えれば、来シーズンの展望は以下のようになる。

本命:リバプール
対抗:チェルシー
穴:シティ

 ユナイテッドは監督人事次第である。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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