「驚異的なパス・ドリブルの成功率」。データが示すダビド・シルバの価値と後継者の不安【ポジショナルフットボールの象徴・後編】

噛み砕いて考えれば考えるほど、グアルディオラのゲームモデルはシンプルそのものである。彼らがあれほど効果的に戦えるのは、同コンセプトを寸分の狂いもなく実行に移しているからこそだ。マンチェスター・シティの選手がどのように動き、どのようにパスを出しているのか、そしてその理由について明確に説明することを試みた『ポジショナルフットボール教典』から、「ダビド・シルバ」の章より一部抜粋して前後編で公開する。今回は後編。(文:リー・スコット)

2020年08月05日(Wed)10時30分配信

text by リー・スコット photo Getty Images
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狭いエリア内でペナルティーエリアに至る道筋を作り出す能力

ダビド・シルバ
【写真:Getty Images】

 ダビド・シルバがチームにもたらすものは単純にゴールやアシストだけではない。2017/18シーズンのプレミアリーグで彼が記録した9得点、10アシストという数字は、2018/19シーズンには6得点、7アシストに減少した。

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 だが、むしろ重要なのは、相手のタイトでコンパクトな守備構造の中にスペースを見つけ、狭いエリア内でプレーしつつ、ペナルティーエリアに至る道筋を作り出すことができる彼の能力だ。このことは、過去2シーズンにダビド・シルバが記録した80.5%および76.2%というドリブル成功率にも明確に現れている。

 ファイナルサードへのパス成功率とペナルティーエリア内へのパス成功率に関しても同じことが言える。2017/18シーズンにはファイナルサードへのパス成功率87%、ペナルティーエリア内へのパス成功率69.2%を記録。2018/19シーズンにはそれぞれ83.8%および71.3%という数字を残した。

 2019/20シーズンに34歳となるダビド・シルバの背後では、フォーデンなどの選手がトップチームでの出場機会増加のチャンスを虎視眈々と窺っている。純粋にフィジカル的な観点から言えば、ダビド・シルバが下り坂にあることは間違いない。90分間を通して走り続けることはもうできないだけに、トップチームでの稼働率は慎重に調整していく必要があるだろう。

 だが、ボールを扱う技術や試合のテンポや流れをコントロールする能力という点では、シティのチーム内はもちろん、欧州サッカー全体でもまだまだダビド・シルバに匹敵するほどの選手はほとんどいない。

 ダビド・シルバがシティのトップチームでの役割低下を受け入れるのか、それとも最後の大きな移籍に心を動かされるのかはまだわからない。中国や中東が移籍先の候補だとも噂されている。ダビド・シルバにはいまやマンチェスターの町やグアルディオラとの強い結びつきがあり、悲願のチャンピオンズリーグ制覇を目指していくクラブに残ることを選ぶ可能性も十分にある。

 ピッチ上を走り回る力には衰えの兆候が見られるとしても、戦術面、技術面でのダビド・シルバのクオリティの高さや、スペースの扱い方についての理解度に疑問を差し挟む余地はない。今後の移籍市場でも、こういった能力を補うことができる後継者をシティが見つけ出すのは容易なことではないだろう。

(文:リー・スコット)

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『ポジショナルフットボール教典』


定価:本体¥2000+税

≪書籍概要≫
噛み砕いて考えれば考えるほど、グアルディオラのゲームモデルはシンプルそのものである。彼らがあれほど効果的に戦えるのは、同コンセプトを寸分の狂いもなく実行に移しているからこそだ。
本書を通して、シティの選手がどのように動き、どのようにパスを出しているのか、そしてその理由について明確に説明することを試みたい。 最後まで読み終えたあと、グアルディオラが用いる戦術コンセプトを今までより少しでも楽しんでもらえるようになったとすれば、この試みは成功だったと見なすことができるはずだ。

詳細はこちらから

【了】

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