「我々は負けて当然だった」。ローマが完敗を喫した理由。セビージャが持ち込んだ戦略とは?【EL】

ヨーロッパリーグ(EL)・ラウンド16、セビージャ対ローマが現地時間6日に行われ、2-0でセビージャが勝利している。今季のセリエAを5位で終えたローマは、ファーストシュートまで35分もの時間を費やすなど大苦戦。攻撃陣も停滞を余儀なくされた。(文:小澤祐作)

2020年08月07日(Fri)11時26分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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難敵セビージャに完敗

ローマ
【写真:Getty Images】

 今季のセリエAを5位でフィニッシュしたローマだが、15試合無敗のままリーグ戦を終えたセビージャを上回ることはできなかった。現地時間6日に行われたヨーロッパリーグ(EL)・ラウンド16。イタリアの首都クラブはMSVアレーナで0-2と完敗を喫し、大会から姿を消すこととなった。

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「我々は今、非常に良いフォームにある。そして、素晴らしい相手とのタフな試合になることはわかっている」。

 試合の前日会見で、ローマを率いるパウロ・フォンセカ監督はこのように話していたという。その言葉通り、セビージャ戦はかなり「タフな試合」となった。

 立ち上がりからローマは最終ラインからボールを繋いで攻撃を組み立てようとしたが、セビージャの素早いプレッシャーに悪戦苦闘。相手はボールを奪うとシンプルにディフェンス陣の裏を狙ってくるため、必然的に全体のラインが下がってしまった。

 ローマはほぼ自陣でのプレーを余儀なくされた。前にボールが運べず、サイドに逃げたところで相手の積極的なアタックに芽を摘まれる。セビージャを上回るポイントをなかなか見出せないまま、時間だけが過ぎていった。

 そんな中、22分に痛恨の失点。左サイドバックのDFセルヒオ・レギロンにドリブル突破を許し、そのままゴールネットを揺らされた。DFブルーノ・ペレスが捕まえきれず、DFジャンルカ・マンチーニがFWルーカス・オカンポスの動きに誘導されたことでできたスペースを突かれた形となった。

 ご存じの通り、今季のELは一発勝負。当然、ローマは最低でも1点を奪わなければその時点で敗退が決まる。しかし、セビージャは反撃のチャンスすら与えてくれなかった。事実、ローマはファーストシュートを放つまで35分もの時間を費やしていたのだ。

 そして、悪い流れを払拭できぬまま前半終了間際に追加点を献上。カウンターからオカンポスに左サイドを破られ、最後はゴール前に詰めていたFWユセフ・エル・ネシリにシュートを押し込まれた。この時点でローマの敗退はほぼ決まったと言ってもいいだろう。

 後半、ローマはMFロレンツォ・ペッレグリーニやFWカルレス・ペレスを投入するなど攻撃的な姿勢を見せた。が、2点のリードを奪い精神的にも余裕があるセビージャの牙城を崩すのは容易ではなかった。最後までポジティブな要素を生み出せず、シュート数は7本、枠内シュートはわずか1本に。反対にセビージャには16本ものフィニッシュを許すなど、内容も結果もまさに完敗となった。

徹底されたザニオーロへの対応

ニコロ・ザニオーロ
【写真:Getty Images】

「我々は負けて当然だった。セビージャは私たちよりも優れたチームで、今夜は私たちよりも良いプレーをしていた。私たちは、彼らのほうが優れていたことを受け入れなければならない」。

 フォンセカ監督は試合後の会見でこう話した。エースのFWエディン・ジェコも「今日の試合を観るだけでも、ヨーロッパで必要なレベルに到達するために欠けているものは明らかに多くある」とセビージャ戦の出来を悔やんでいる。

 では、なぜ今季リーグ戦77得点を叩き出したローマの攻撃陣がここまで沈黙したのか。理由はセビージャのMFニコロ・ザニオーロに対する徹底した守備にあるとみていいだろう。

 アッズーリの未来を担うであろうローマの若き大器は、左足一本で様々な仕事をやってのける。パスを出しても良し、縦への推進力もピカイチ、身長190cmの体躯を活かしたパワフルさも兼ね備えるなど、唯一の欠点がメンタル面と言えるほど技術的には完成された選手だ。今季は怪我の影響で長期離脱を強いられることもあったが、復帰以降は大きく躍動。ローマの攻撃を司る存在となっている。

 ザニオーロのパフォーマンス次第でローマの攻撃におけるクオリティは確かに上がる。当然、フレン・ロペテギ監督もそれをよく理解していた。そのため、同指揮官はMFカゼミーロと並んでリーガ屈指の潰し屋と称されるMFフェルナンドをザニオーロの徹底マーク役としてピッチに送り出した。

 フェルナンドはそのタスクを高いレベルでこなした。素早く動いて危険なスペースを埋め、とにかくザニオーロに対して激しく当たり、ファウルぎりぎりで止める。これを何度も繰り返し、ザニオーロに自由を一切与えなかった。また、フェルナンドが飛び出して空けたスペースはMFジョルダンがカバー。このあたりのケアも怠らなかった。

 なかなか持ち味を発揮できないザニオーロはだんだんとフラストレーションが溜まり、守備時に少し強引なプレーに走ることもあった。結局、同選手は57分に交代を余儀なくされたが、シュート0本、ドリブル成功数0回、キーパス0回に終わるなど存在感を放つことができず。チームとしても攻撃の中心を潰されたので、ジェコが孤立するなどゴールへの活路を見つけられなかった。

 相手のキーポイントを確実に抑えたセビージャの戦略勝ちと言えるだろう。フェルナンドをはじめ、すべての選手の高い意識と働きが効いていた。ローマにとってはこれほど力の差を見せつけられるのは屈辱的と言えるのではないか。

(文:小澤祐作)


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【了】

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