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レアル・マドリードはかなり心配。アザールもイスコもヴィニシウスも…得点の期待はベンゼマのみ

ラ・リーガ第4節、レアル・マドリード対バジャドリーが現地時間9月30日に行われ、1-0でホームチームが勝利している。これでリーグ戦連勝となったマドリーだが、かなりギリギリの戦いだったことは確か。ティボー・クルトワのファインセーブがなければ、勝ち点を落としていた可能性も高い。ここまでの苦戦を強いられた理由は?(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

1点を守り切り勝利

ジネディーヌ・ジダン
【写真:Getty Images】

 苦しかったが、勝ち切った。これが、今のレアル・マドリードの強さと言えばそうなのかもしれない。

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 現地時間9月30日、エスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノにバジャドリーを迎えたマドリーは、前節のベティス戦同様4-3-1-2のシステムでこの試合に挑んだ。前回トップ下を務めたのはマルティン・ウーデゴールだったが、この日はイスコが先発。カリム・ベンゼマとルカ・ヨビッチが最前線に並んでいる。

 マドリーは立ち上がりからペースを握った。ビルドアップをスムースに行い、敵陣へ侵入。とくにマルセロのいる左サイドはやはり厚みが増しており、ハーフスペースをうまく活用しながらバジャドリー守備陣のラインを押し下げた。

 しかし、アウェイチームは当然ながらゴール前に人数をかけてくる。これを崩し切るのは、容易ではなかった。実際、放ったシュートがバジャドリーDF陣にブロックされるシーンは多々あり、枠に飛ばしてもGKロベルト・ヒメネスにゴールネットへの道を阻まれた。

 一方のバジャドリーはマドリーを恐れずしっかりとボールを動かしながら前進。空いている相手インサイドハーフ脇のスペースをうまく活かし、大きく幅を使った攻撃を展開していた。

 こうしてお互いにチャンスを作りながらも、前半は0-0で終了。そして迎えた後半も、立ち上がりはあまり流れに変化はなかった。

 しかし、「前半は難しかったけど、ハーフタイム後に監督はより多くのチャンスを作って試合を変えるために(マルコ・)アセンシオと僕を投入した」とヴィニシウス・ジュニオールが話す通り、55分過ぎの交代を機にややペースがマドリーに傾いた。

 そして65分、相手最終ラインのバタつきを見逃さなかったV・ジュニオールが待望の先制点を奪取。結果的に、ジネディーヌ・ジダン監督の采配が的中する形となった。

 マドリーはその後、セルヒオ・ラモスを中心とした守備陣が躍動してバジャドリーに反撃を許さず。リーグ戦で連勝を飾ることになった。

試行錯誤の中、得点力不足の解消は見込めず…

 ただ、勝ち点3を奪えたことは非常に大きいが、内容は決して褒められたものではなかったのが事実。かなりギリギリの勝負だったと言えるだろう。

 V・ジュニオールの得点で先制した後も、マドリーはかなり攻められていた。カウンターから危険な場面も何度か作られていたし、ティボー・クルトワの長い手足を活かしたセービングがなければ、2点を失ってもおかしくはなかっただろう。

 しかし、試合をより難しくしてしまったのはやはり攻撃陣だ。昨季から続く得点力不足という課題は、バジャドリー戦でも露呈されてしまった。この日のMOMが「僕は何度か良いセーブをしなければならず、その後とどめを刺さなかったから苦しむことになった」と話したクルトワという事実が、それをよく物語っている。

 先述した通り、ジダン監督は4-3-1-2のシステムを採用してきた。トップ下に入ったのはイスコだったが、この同選手のプレーが少し問題になっていたかもしれない。

 イスコはテクニシャンであり、ボールを受けた後のアイデアや躍動感はやはり目を見張るものがある。ただ、ライン間である程度自由を与えられたイスコはこの日、やや動きすぎてしまう傾向にあった。

 これによって、ベンゼマとヨビッチの2トップとポジショニングが被ることが少なくなく、ルカ・モドリッチやフェデリコ・バルベルデの飛び出すエリアを消してしまうことも。簡単に言えば周りの選手との距離感が悪く、イスコが起点となって攻撃が加速するシーンはあまり見受けられなかった。

 モドリッチ、バルベルデ、ベンゼマ。彼らは幅広いエリアに顔を出せるのが特徴的で、味方を活かすこともできれば味方に活かされることもできる。実際、この日も同3選手はよく動いていた。ただ、そこにイスコの活発な動作も加わることで、前線が少しごちゃごちゃしてしまった印象は否めない。トップ下はある程度、位置を固定しても良かったのかもしれない。

 あとは単純に、ベンゼマがボールの受け手となったら誰が点を取るのか。ヨビッチはパフォーマンスが悪くなかったが、まだまだ物足りない。アセンシオも怪我明けでまだ本調子ではなく、V・ジュニオールは1点こそ奪ったが決定力は未だ課題で、エデン・アザールに関してはピッチにすら立てていない。不安だ。

 プレシーズンマッチを1試合しか行えず、ジダン監督は試行錯誤している。ベティス戦、そしてバジャドリー戦で採用した4-3-1-2システムも今のところ機能しておらず、攻撃の形は明確となっていない。補強も行わないようなので、今後しばらくは前線の迫力不足に悩まされるだろう。

 唯一の救いは守備陣が抜群の安定感を発揮していること。クルトワの存在も大きい。ただ、これがどこまで続くか定かではない。得点力不足が長引き、ズルズルと沼にハマってしまうことだけは避けたいが…。

(文:小澤祐作)

【了】

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