久保建英はなぜ輝いた? 一躍ビジャレアルの中心に、的中したエメリ監督の起用法【EL】

UEFAヨーロッパリーグ・グループI第1節、ビジャレアル対スィヴァススポルが現地時間22日に行われ、5-3でビジャレアルが勝利を収めた。移籍後初先発となった久保建英は幸先よく先制ゴールを決め、その後は2アシストをマークしている。久保はいかにしてビジャレアルの攻撃の中心となったのか。(文:加藤健一)

2020年10月23日(Fri)10時13分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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久保建英が輝く形

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【写真:Getty Images】

 味方のシュートを相手GKが弾いたところを詰めて、久保建英は幸先よく先制点を挙げた。その後はスルーパスでカルロス・バッカのゴールをアシストすると、後半にはCKからファン・フォイスのゴールを演出。移籍後初先発にして欧州デビューとなったこの試合で、久保は1得点2アシストを記録する大車輪の活躍だった。

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 ウナイ・エメリ監督は「彼と話し合ったプロセスは、彼が快適にプレーできるようになると同時に、様々なポジションに適応していくことだった」と、久保についてコメントしたことがある。ここまでは様々なポジションで久保を起用し、可能性を広げてきた。

 この試合では可変システムを導入している。久保はビルドアップ時に4-3-3のインサイドハーフでマヌ・トリゲロスと並び、敵陣にボールが入るとトップ下としてバッカの背後でプレーした。守備ではバッカと並んで4-4-2の最前線に入っている。

 久保は中央で躍動した。スィヴァススポルの中盤は人への意識が強く、DFラインとの間のスペースを頻繁に開けていた。久保はそれを見逃さず、後方からの縦パスをフリーでもらって簡単に前を向くことができた。

 アシストした2点目のシーンがまさにそうだった。マリオ・ガスパールとサムエル・チュクウェゼが右サイドで相手を引きつけると、ぽっかりと空いた中央のスペースを久保は見逃さなかった。久保がボールを受けるとセンターバックがつり出され、そこにバッカが走り込んだ。

トップ下の右サイドの違い

 2点のリードを前半に追いつかれたこともあり、エメリ監督は後半開始からビセンテ・イボーラを投入し、久保は右ウイングに回っている。

 スィヴァススポルはセットプレーやシンプルなクロスボールからチャンスを作っていた。高さのあるイボーラをアンカーに入れて中盤の守備面を強化するというのがエメリ監督の狙いだろう。

 右サイドに移った久保は低い位置まで戻って守備をしなければならず、攻撃でも右サイドに張ってプレーする時間が長かった。後半の久保はCKから勝ち越しゴールをアシストしたものの、前半に比べればチャンスに絡む回数は減っている。

 バレンシア戦の前に指揮官が言っていた「エリア内でより効果的なパスやフィニッシュを見せてほしい」という要望は右サイドでは実現できなかった。

 この部分においてはチュクウェゼの方が上回っているかもしれない。この時間帯に左サイドに回っていたチュクウェゼは4点目につながるパスを出し、左サイドでも輝いていた。

「久保は他の選手のようにもっと守備に取り組まなければいけない」と、バレンシア戦後にエメリは評価している。実際、ビジャレアルのサイドハーフにはアップダウンする運動量と、ディフェンシブサードでの貢献が求められる。

 モイ・ゴメスは言わずもがな高い貢献を見せているが、チュクウェゼや久保は指揮官が求める水準に達していないのだろう。パコ・アルカセルの2得点で2点をリードした試合終盤、久保を4-4-2の最前線に戻している。

エメリの狙い

 バレンシアとのダービーから中3日で行われたこの試合で、ビジャレアルはラウール・アルビオル、マヌ・トリゲロス、チュクウェゼを除く8人を変えてきた。

 ダニエル・パレホはバレンシア戦で内転筋を痛め、1か月以上の離脱が見込まれている。ジェラール・モレノは今月のスペイン代表活動中にハムストリングを痛め、今月いっぱいは欠場が続くだろう。

 パレホはビルドアップの際にボールを敵陣へ運ぶキーパーソンであり、ジェラール・モレノは敵陣で楔のパスを受ける重要なターゲットだった。両者がいないこの日、中央でボールを受ける仕事は、久保とトリゲロスに委ねられた。トップ下起用に加え、この試合のメンバー構成は久保の活躍を大きく後押しした。

 バレンシア戦では右サイドに投入されたものの、決勝点につながるプレーは左に流れたときに生まれている。この試合で最も輝いたのはトップ下でプレーした時間帯だった。

 攻撃面でも守備面でも、中央でプレーした方が久保の特長は活かせる。おそらくエメリ監督もそれは感じているはずだが、主力選手が戻ってくれば、久保をこのポジションで起用することも難しくなるだろう。

 久保の成長を促し、サイドでも起用できるめどを立てる方がチームとしては得策だ。目先の勝利だけでなく、シーズンを通してチームを作っていく哲学は、EL3連覇を果たしたエメリらしい采配だと思う。

 ELでの活躍はエメリが指揮を執った昨季のアーセナルを思い出させる。ブカヨ・サカは第1節のフランクフルト戦で1得点2アシストをマークし、第2節ではガブリエウ・マルティネッリが2得点1アシストを記録した。サカはレギュラーに定着、マルティネッリは公式戦10得点を挙げる活躍を見せている。

 2人と同い年の久保も、彼らと同じ道をたどるチャンスがある。少なくともこの試合で、その資質を持っていることを証明した。

(文:加藤健一)

【了】

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