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リバプールはシティの二の舞になるのか? 大黒柱ファンダイク不在で強いられた新たな戦い方

プレミアリーグ第6節、リバプール対シェフィールド・ユナイテッドが現地時間24日に行われ、2-1でリバプールが勝利を収めた。リバプールは今季初めて4-2-3-1の布陣を採用し、先発起用されたディオゴ・ジョッタが決勝点となるゴールを決めた。フィルジル・ファンダイクという大黒柱を欠くチームは、新たな戦い方を模索している。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

リバプールの3人のキーマン

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【写真:Getty Images】

 オウンゴールによる虎の子の1点を守り切ったアヤックス戦から中2日、シェフィールド・ユナイテッド戦も薄氷を踏むような勝利だった。PKを献上して先制を許したが、ロベルト・フィルミーノとディオゴ・ジョッタのゴールで逆転に成功した。

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 リバプールの最終ラインにフィルジル・ファンダイクの姿はない。加入以来、リーグ戦で欠場したのは1試合だけ、94試合連続で先発していたが、エバートン戦で右膝の前十字靭帯を損傷。復帰時期は未定とされているが、一般的には今季中の復帰すら危ぶまれる大怪我である。

 リバプールは18年1月にファンダイクを獲得し、そのシーズンにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝に進んだ。アリソンとファビーニョが加入した翌シーズンはCLを制覇、プレミアリーグでも連覇したマンチェスター・シティに肉薄している。

 満を持して臨んだ昨季は独走で30年ぶりのリーグ優勝を果たした。3人の加入はユルゲン・クロップ監督が作り上げてきたチームが、勝てるチームへと変貌を遂げた転機となった。

布陣変更の効果

 リバプールは今季初めて4-2-3-1の布陣で臨んだ。昨季までもオプションとして用いられることはあったが、今季はプレシーズンから準備している。デヤン・ロブレンが移籍したため、若い選手たちを除けば本職のセンターバックは3人。ファビーニョが最終ラインを兼務することはプレシーズンから想定していた。

 アヤックス戦に続いてジョー・ゴメスとファビーニョがセンターバックを務めた。ファビーニョはPKにつながるファウルを犯したが、試合全体で見れば及第点の活躍だったと言っていいだろう。

 ジョー・ゴメスはファンダイクの代役として12本のロングボールをすべて成功させた。ファンダイクの代役を務められるセンターバックは世界中を探してもおそらくいないが、フィード面ではジョー・ゴメスが遜色なくその役割をこなしていた。

 中盤の底にはジョーダン・ヘンダーソンとジョルジニオ・ワイナルドゥムが並んだ。ファビーニョがアンカーにいないことで、2人の負担は大きくなっていたが、それを感じさせないプレーぶりだった。

 いつもの8番(インサイドハーフ)としての攻撃の役割をこなしつつ、6番(アンカー)の仕事も2人で分担していた。ヘンダーソンはチームトップの3度のインターセプトを記録。ワイナルドゥムはピッチ上で的確なポジショニングを取り続け、95%を超えるパス成功率を記録した。

マンCの二の舞を演じる可能性は?

 守備の要の不在と聞いて思い出すのは昨季のマンチェスター・シティである。アイメリク・ラポルテが第5節に右膝を負傷し、手術からの復帰には5か月を要した。

 シティはフェルナンジーニョをセンターバックにコンバートして急場を凌ごうとしたが、失点は前年より12も増加。9敗を喫したシティはリバプールに大きく離される結果となった。

 一方で、新布陣を準備していたこともあって、リバプールの対応は迅速だった。

 ジョー・ゴメスは元々足元の技術が高いセンターバックだが、ファンダイクの代役としてフィード役をそつなくこなしている。ダブルボランチの布陣はファビーニョをアンカーで起用できないという事情をカバーする解決策だった。

 両サイドバックの攻撃参加は変わらず、3トップにジョッタを加えた攻撃陣は時間の経過とともに連係も成熟していった。ストロングポイントを失わずに勝てたことが持つ意味は大きい。

 ファンダイクが背負ってきた役割はあまりにも大きい。冬の移籍市場で誰かを獲得するかもしれないが、1人でカバーできるようなものでは到底ないだろう。

 ジョー・ゴメスとファビーニョが負担を背負い、ファビーニョが背負っていた役割をヘンダーソンとワイナルドゥムが分担する。アヤックス戦と同様に、このシェフィールド戦も全員でもぎ取った勝利という印象が強い試合だった。

 ただ、ここまで勝ち点1と苦しむシェフィールドが相手だったことは考慮しなければいけない。来月3日にはCLでアタランタと、8日にはシティと対戦する。ワールドクラスの攻撃力を誇る両チームに対して、大黒柱を欠いたリバプールがどのように振舞うのか。組織力の真価はそこで試されることになるだろう。

(文:加藤健一)

【了】

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