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シティの新たな顔になる男とは? CFコンバートで輝く20歳フェラン・トーレス、3戦連続ゴールで見せる能力の高さ【欧州CL】

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節、マンチェスター・シティ対オリンピアコスが現地時間3日に行われ、3-0でシティが勝利した。3試合連続ゴールでシティを3連勝スタートに導いたフェラン・トーレスは、ストライカーの不在というピンチを救う活躍を見せている。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

押し込まれる時間はあったが…

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【写真:Getty Images】

 試合展開はマルセイユ戦と似ていた。前半の早い時間に先制したが、その後はスコアが動かず。交代カードを切った後に2点を加えて逃げ切った。

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 シティは序盤から相手を敵陣に押し込み、ボールを奪われても即座に奪い返した。12分に先制した後も攻め続けたが、アタッキングサードでの精度を欠いた。シュートを20本放ったが、枠内に飛ばしたのは3割。「不幸なことにフィニッシュ、ラストパスやシュートは完ぺきではなかった」と指揮官は振り返っている。

「前半と最後の15分は本当に良かった」というペップ・グアルディオラ監督のコメントは2つの意味を持っている。2つの時間帯に試合の主導権を握っていたが、後半の初めの時間帯は相手に主導権を渡していた。

 4-5-1で前半を戦っていたオリンピアコスは、ハーフタイムに2人の選手交代を行い、4-2-4のような形でシティのビルドアップを封じていた。シティは思うようにボールを敵陣に運べなくなり、オリンピアコスにボールの所有権が渡っていく。終盤はシティが盛り返したが、後半のボール保持率ではオリンピアコスがわずかに上回っている。

 追加点をなかなか奪うことができなかったが、途中出場の2人が試合を決めた。ガブリエウ・ジェズスが81分に角度のない位置からニアサイドに突き刺すシュートを決めて点差を広げる。90分にはこちらも途中出場のジョアン・カンセロが左足でミドルレンジからシュートを突き刺した。

 シティは3試合連続で3点を奪い、3連勝という最高の結果を残した。ルベン・ディアスとエメリック・ラポルテの両センターバックをベンチに休ませ、ここまで公式戦全試合に先発していたロドリも途中出場だった。過密日程が続き、週末にはリバプール戦を控えているだけに、ターンオーバーと勝利を両立できたことは大きい。

CF不在を救うフェラン・トーレスの躍動

 この夏にバレンシアから加入したトーレスは、マルセイユ戦に続いて中央で先発起用された。12分にケビン・デ・ブルイネとのワンツーでDFラインを突破すると、GKの股を抜くシュートでゴールネットを揺らしている。

 3-1で勝利したポルト戦では途中出場からチームの3点目を挙げ、マルセイユ戦では先制点を決めた。今大会では3試合連続でゴール。昨季のバレンシアでは公式戦44試合で6得点だったが、シティでは9試合の出場ですでに4得点を挙げている。

 本職だったウイングではなく、ストライカーのポジションで得点を重ねている。「フェランはボールを持っているときも、そうでないときもうまく動いている」と指揮官もその活躍を高く評価した。

 データサイト『Whoscored.com』の集計ではこの試合で5本のシュートを放ち、3本のキーパスを記録。ボールロストの数も少なく、ボックス内での冷静で正確なプレーが目立っていた。

 そして、試合を決めたのは本職の「9番」だった。69分にピッチに立ったガブリエウ・ジェズスは81分にゴールを決めた。角度のあまりない位置からのシュートだったが、ストライカーらしく思い切りよく右足を振り抜いた。

 本職ストライカーの不在がアタッキングサードでの迫力不足につながっていたが、解決も時間の問題だろう。アグエロの復帰も今月中旬の代表ウィーク明けとされており、この試合でジェズスも復帰。そして、トーレスもこのポジションでプレーできることを証明している。

「彼は成長している。ここでは最初のシーズンで時間が必要だ」とグアルディオラは語るように、20歳のトーレスにはまだまだ伸びしろがある。このまま成長を続けていけば、ダビド・シルバの背番号21を受け継いだトーレスがシティの新たな顔になるかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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