久保建英を潰すビジャレアルの起用法。シュートもドリブルもゼロ、レアルも悩む厳しい現状【EL分析コラム】

ヨーロッパリーグ(EL)・グループリーグ第I組第4節、マッカビ・テルアビブ対ビジャレアルが現地時間26日に行われ、1-1のドローに終わっている。日本代表MFの久保建英は先発出場。しかし、見せ場がないまま後半途中にピッチを後にしている。やはり、鬼門ポジションでのプレーは難しかった。(文:小澤祐作)

2020年11月27日(Fri)11時37分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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久保は“鬼門ポジション”で苦戦

ビジャレアル
マッカビ・テルアビブ戦のビジャレアルのスターティングメンバー

 日本代表MFの久保建英に関するニュースは毎日のように目にしている。ただそれは、ご存じの通り決してポジティブなものではない。

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 冬のマーケットが近づいていることもあって、久保にはシーズン途中での移籍が噂されている。新天地へ旅立つ可能性の大きさ等は定かではないが、ここ最近はリーグ戦においてベンチスタートがほとんどで、起用されても残り5分といったところと、ビジャレアルでの現状が好ましくないのは事実。レンタル元のレアル・マドリードの存在もあるため、そうした報道が出てくるのは、無理もないだろう。

 そんな苦しい状況にある久保にとって、現在唯一のアピールの場となっているのがヨーロッパリーグ(EL)だ。これまでの3試合すべてに先発出場しており、1得点3アシストという目に見える結果も残している。相手のレベルは確かに落ちるかもしれないが、その中でしっかりと仕事を果たせているのは、選手本人にとってモチベーションを保つという意味でも大きなことだ。

 しかし、迎えたELグループリーグ第4節、敵地でのマッカビ・テルアビブ戦。久保は同大会4試合連続のスタメン入りを果たしたものの、重要なアピールの機会で存在感を完全に失ってしまった。

 久保が起用されたのは4-2-3-1の左サイドハーフ。小柄なレフティーにとって“鬼門”とも言えるポジションである。

 案の定、久保は立ち上がりから窮屈そうなプレーを強いられた。対峙したマオル・カンディルの執拗なマークに苦しみ、個で仕掛ける場面はほとんどなく、シンプルな選択が増える。怖さという意味ではまったく物足りなかった。

 チーム全体としてもマッカビ・テルアビブの守備に苦戦しており、ボールは保持するもチャンスを作れない時間が続いていた。ダニエル・パレホがベンチスタートの中パスのテンポは単調でメリハリがない。久保だけでなく、ピッチに立つほとんどの選手がストロングポイントを発揮できずにいた。

 ビジャレアルは前半終了間際にアレックス・バエナがゴールを決め、なんとかリードを奪っている。しかし、後半立ち上がりにアレクサンダー・ペシッチに得点を許し、すぐさま同点に追いつかれてしまった。

 ゲームとして少し動きが出てきた中でも、久保の輝きはまったくでない。結局、EL4試合目で最も短い63分間のプレーに留まってしまった。

 データサイト『Who Scored』によるスタッツはシュート数0本、ドリブル成功数0回、パス本数18本。攻撃的プレーヤーとしてはやはりいただけない数字だ。試合後、現地紙などは低評価を与えていたが、それも妥当と言えるだろう。

左サイド起用のメリットがない

久保建英
【写真:Getty Images】

 久保の左サイド起用に大きなメリットはあるのだろうか。残念ながら今のところ、そのようなものは見つかっていない。

 ウナイ・エメリ監督は久保について9月下旬にこのような発言をしている。

「彼と話し合ったプロセスは、彼が快適にプレーできるようになることはもちろん、同時に様々なポジションに適応していくことだった。もちろん、快適なのは右サイドだが、左サイドでもプレーできるように成長する必要がある」。

 エメリ監督は久保が右サイドでこそ輝くことを知っている。それでもなお、左サイド起用を続けるのは、上記したスタンスを変えていないからだろう。

 ただ、左サイドにおける久保はやはり良さが消えてしまう。ウスマンヌ・デンベレやイバン・ペリシッチのような両利きタイプでは当然ないので、左利きの久保が左サイドから中央へ切り込むとどうしてもゴールに対し身体が横向きになることが多い。こうなると、プレーの選択肢は狭まる。久保だけでなく、左サイドに置かれる左利き選手全員に起こり得ることだ。

 また、久保には縦へ一瞬で抜け出すスピードがあるわけではない。日本人レフティーはより味方を生かし、味方に生かされながらゴール前へと侵入できるタイプだ。ただ、普段あまり試合に絡めていない選手を起用することが多い(とくにビジャレアルのようなチームの場合)ELの舞台だと、より選手個々の存在感が強まる傾向にある。その中で連係が重要な久保の良さが失われてしまうことが多い。

 このマッカビ・テルアビブ戦も左サイドのアルフォンソ・ペドラサとトップ下に入ったバエナは個で存在感を示そうとしていたが、本来久保が使うべきスペースを埋めてしまう場面がちらほら見受けられるなど、連係という部分ではまだまだ未熟。久保の良さが出るわけはなかった。

 左サイドのファーストチョイスは現時点でモイ・ゴメスだ。彼には久保のようなポテンシャルはないが、攻撃だけでなく守備のタスクをしっかりと遂行できる能力がある。保守的なエメリ監督が好きなタイプで、このようなスキルがない久保がここへ割って入るにはかなりの時間を要するだろう。

 しかし、ラ・リーガでの出場は限定的。ELでは出番を得られているが、より個の色が強い中慣れないポジションで戦っている久保の存在は隠れる。左サイドに適応しアピールする時間も、そして余裕もない。左サイド起用のメリットがないまま、シーズンを終えてしまう可能性も否めない。

 また、ビジャレアルはチームとしてここまで良い成績を収めてきている。その中でエメリ監督に「久保をもっと右サイドで使え」というのも、なかなか難しい話ではある。いずれにしても確しかに言えるのは、久保の現状はかなり厳しい。

(文:小澤祐作)

【了】

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