マンUはギリギリすぎる。最下位にあわや…深刻な問題とは?【分析コラム】

プレミアリーグ第13節、シェフィールド・ユナイテッド対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間17日に行われ、2-3でアウェイチームが勝利している。これでマンチェスター・Uはアウェイ戦10連勝。1試合未消化ながら6位につけるなど好調を維持している。一方で、この試合では深刻な問題も浮き彫りとなった。(文:小澤祐作)

2020年12月18日(Fri)11時36分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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またも先制される

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【写真:Getty Images】

 マンチェスター・ユナイテッドは1点を先に失うことでギアを入れているのだろうか。ゲームへの入り方の悪さが、ここ最近はとくに目立っている。

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 プレミアリーグ第13節、アウェイでのシェフィールド・ユナイテッド戦でも、マンチェスター・Uは先に得点をプレゼントしている。GKディーン・ヘンダーソンがバックパスの処理を誤り、最後はデイビッド・マクゴールドリックにゴールネットを揺らされてしまった。開始わずか5分のことである。

 しかし、マンチェスター・Uが直近のリーグ戦で大きく勝ち点を落としていないのは、他ならぬ逆転できる力を持っているからだ。とくに、総合力の劣っている相手には、高確率でスコアをひっくり返すことが可能。それは、このシェフィールド・U戦でも確かに証明された。

 マンチェスター・Uの攻め方は徹底していた。守備時に5-3-2のコンパクトな陣形を築く相手に対し、中央の堅いブロックを一気に崩すためDFライン背後に狙いを定めている。ポール・ポグバやブルーノ・フェルナンデスがそこへ長いボールを蹴り込み、マーカス・ラッシュフォードらの走力を活かした。

 事実、マンチェスター・Uは最初の20分だけで4回もオフサイドに引っかかっている。シェフィールド・Uがハイラインで対応、その裏をマンチェスター・Uが狙っているという展開をイメージさせるには十分な数字であると言える。

 そして、マンチェスター・Uはこうした戦い方を徹底して時間を進めるうちに、ボールの出し手側と受け手側のタイミングが合うようになってきた。シェフィールド・Uは当初こそオフサイドを取れていたが、しつこく裏を狙ってくる相手選手に対し、次第に個人個人でラインを下げるようになってしまった。そうなると当然、全体のラインはバラバラとなる。流れは完全にマンチェスター・Uが掴んでいた。

 すると26分に同点に追いつく。ヴィクトル・リンデロフからのロングパスをラッシュフォードが収め、豪快にネットを揺らした。さらに33分にはポグバの浮き球パスに反応したアントニー・マルシャルが得点。シェフィールド・Uが混乱に陥っている隙に、あっという間にスコアをひっくり返した。

 この2得点に共通しているのは、マンチェスター・U側が一度ボールを逃がした直後に生まれているということ。シェフィールド・U側はパスが逃げた際に全員がボールウォッチャーになっていたことで、裏へランニングする選手に付いていくことが全くできていなかった。もちろん、ボールだけを追ってしまっているので、ラインの押し上げも揃わない。上記した通り最終ラインはバラバラになるなど、脆さを露呈してしまった。

修正したシェフィールド・U

 後半に入ってもペースを握ったのはマンチェスター・Uだった。すると51分、前から捕まえに来た相手をポグバが華麗なターンでかわしたことが起点となり、速攻が開始。最後はラッシュフォードがこの日2得点目を叩き込んでいる。

 早い時間で1-3とされたシェフィールド・Uはこれ以上点差を広げられないため、そして疲労の影響もあって前からガンガンと捕まえに行けなくなったため、途中から最終ラインをそれまでより低い位置に設定。前半から脅威となっていたマンチェスター・Uの攻めをようやく封じにかかった。

 アウェイチームは後半のオフサイド数が0本だった通り、シェフィールド・Uの対応が変わったことで背後への抜け出しは難しくなり、ショートパス主体の攻撃に移る。これによりゴールへの可能性というものは前半よりも明らかに低くなったが、2点をリードしている状況なので、ボールを動かし続けるだけでも十分だった。

 しかし、75分あたりから全体のリズムが怪しくなった。理由としては、オーレ・グンナー・スールシャール監督の交代があったからと言えるだろう。

 とくに、80分にドニー・ファン・デ・ベークと交代したB・フェルナンデスがピッチからいなくなったことが大きかった。これにより、満足にボールを回すことすら難しくなったのだ。ファン・デ・ベークは技術的には十分だが、まだ周りとの関係性が成熟しておらず、うまく試合に入ることができていなかった。

 そしてシェフィールド・Uに何度かチャンスを作られると、87分に失点。コーナーキックから再びマクゴールドリックに点を許した。さらに後半アディショナルタイムにもリス・ムセに決定機が訪れるなど、危うく同点に追いつかれるところだった。

マンチェスター・Uの課題

 なんとか2-3で試合を終えることができたマンチェスター・Uはこれでアウェイ10連勝。リーグ戦無敗を「6」とし、未消化分1試合を勝利すれば2位に浮上できる位置につけている。

 と、上記したような成績が出ているためあまり大きな注文はできないが、やはり試合への入り方、そしてゲームの終わらせ方に関しては質を高めていく必要があるだろう。

 シェフィールド・Uはここまで未勝利で最下位に沈んでいた。マンチェスター・U戦でも見られた通りかなり守備陣は脆く、攻撃陣も今季すでに7回も無得点に終わっている。深刻な状況にあると言えるだろう。

 そんな相手に対し、今季初の複数得点を許し、2点リードを得ていたにも関わらずあわや同点に追いつかれそうになったのは少し心配だ。一番はB・フェルナンデスの存在感が大きすぎることが原因だが、とくにマンチェスター・Uは選手交代によって流れを持っていかれることが多い。

 チャンピオンズリーグ(CL)でも試合運びに関しては大きなミスを犯している。グループリーグ第5節パリ・サンジェルマン(PSG)戦。1-2で迎えた後半ATにカウンターを喰らって1-3にされたことで、直接対決の結果で下回ることになった。結果論にはなってしまうが、これは退場者を出しながらも同点に追いつこうと攻撃的な交対策を行ったことが裏目に出て引き起こされたものだった。

 しかし、それよりも深刻なのは試合への入り方だ。冒頭でも記した通り、ここ最近は1点を先に失ってからギアを上げることが多すぎる。

 サウサンプトン(3-2)やウェストハム(3-1)、そしてこのシェフィールド・Uのような力の劣る相手には、力で逆転することは可能だろう。しかし、CLで対戦したRBライプツィヒ、PSG、イスタンブール・バシャクシェヒルには先制された試合で勝つことができなかった。やはり、総合力で並ぶ、あるいは上回るチームに対し早い時間でリードを許しては勝つことが難しくなる。このあたりがCL敗退の原因になったと言っても過言ではない。

 シェフィールド・U戦で2得点を記録したラッシュフォードも以前に「理想を言えば先制されたくはない」とコメントを残していた。より安定した結果を残すには、このあたりの改善が必須と言えるだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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