アーセナル、絶望からの復活はあるか? 監督・アルテタの思想に迫る【グアルディオラの弟子を超えて・前編】

アーセナルを特集した9/7発売『フットボール批評issue29』から、結城康平氏の“監督・アルテタ”の思想を探った「グアルディオラの弟子を超えて」を、一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:結城康平)

2020年12月31日(Thu)10時00分配信

text by 結城康平 photo Getty Images
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アルテタが徹底するもの

ミケル・アルテタ
【写真:Getty Images】

 ダヴィド・ルイスはボールを自ら持ち運ぶという「現代的なセンターバック」に求められる役割を見事に果たしている。このプレーにおいて、重要なのは単にボールを運んだことではない。ティアニーのマークについていたスターリングを前に誘い出し、彼が縦パスを狙う時間を作ったことだ。その前進がクリーンだったからこそ、次のプレーにスムーズに移行することが可能となった。

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 グアルディオラの師として知られるフアン・マヌエル・リージョは「最初の前進がクリーンに成功すれば、全てが簡単になる」と述べている。

 実際にアルテタは、アーセナル就任後に徹底してボールをクリーンに前進させるトレーニングを続けていたと報道されている。彼はシンプルなトレーニングを何度も止めながら細かく指示を出し、ヒールキックなどのプレーを厳しく制限した。

 彼は「実際の試合でやらないプレーを、トレーニングでやるべきではない」とアクロバティックなプレーを狙ったラカゼットを叱責し、チーム全体にトレーニングの重要性を認識させている。

アルテタの指導で大化けの期待があるのは?

 ルイスと同様に鍵になったのは、そのラカゼットだ。彼はティアニーからのパスを絶妙にライン間で受けると、無駄なく逆サイドへ展開。前進するペースを殺さずに的確に展開したことで、疑似カウンターに近い局面が生まれている。縦パスによる前進への拘りは、試合中のアルテタがどのような反応を示しているかでも明白だ。

 同時にダヴィド・ルイスは中盤が正しいスペースに下がってこないときには檄を飛ばし、チーム全体でボールを運ぶ意識を統一している。ダニ・セバージョスはターンの速度やスムーズなボールタッチを得意としており、スピードを落とさずに前進を助けることが可能だが、受けるタイミングに改善の余地を残している。

 DFラインから動きながら受けるように指示を出されることもあるように、スペインの天才もビルドアップ面では適応に苦しんでいるようだ。技術面では間違いなくトップクラスなので、アルテタの指導でどこまで化けてくれるかを期待するサポーターは多いだろう。

(文:結城康平)

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『フットボール批評issue29』


定価:本体1500円+税

≪書籍概要≫
なぜ、あえて今アーセナルなのか。
あるアーセナル狂の英国人が「今すぐにでも隣からモウリーニョを呼んで守備を整理しろ」と大真面目に叫ぶほど、クラブは低迷期を迎えているにもかかわらず、である。
そのヒントはそれこそ、今に凝縮されている。
感染症を抑えながら経済を回す。世界は今、そんな無理難題に挑んでいる。
同じくアーセナル、特にアルセーヌ・ベンゲル時代のアーセナルは、一部から「うぶすぎる」と揶揄されながら、内容と結果を執拗に追い求めてきた。
そういった意味ではベンゲルが作り上げたアーセナルと今の世界は大いにリンクする。
ベンゲルが落とし込んだ理想にしどろもどろする今のアーセナルは、大袈裟に言えば社会の鏡のような気がしてならない。
だからこそ今、皮肉でもなんでもなく、ベンゲルの亡霊に苛まれてみるのも悪くない。
そして、アーセナルの未来を託されたミケル・アルテタは、ベンゲルの亡霊より遥かに大きなアーセナル信仰に対峙しなければならない。
ジョゼップ・グアルディオラの薫陶を受けたアーセナルに所縁のあるバスク人は、それこそ世界的信仰を直視するのか、それとも無視するのか。

“新アーセナル様式”の今後を追う。

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【了】

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