「イタリアのペップ」はユベントスをどう苦しめたのか? 見逃し厳禁、好ゲームの全貌【分析コラム】

セリエA第17節、ユベントス対サッスオーロが現地時間10日に行われ、3-1でホームチームが勝利している。前半は激しい攻防と駆け引きがあり、サッスオーロに退場者が出て迎えた後半は意地と意地とのぶつかり合い。アリアンツ・スタジアムでは一瞬も目が離せない、好ゲームが繰り広げられていた。(文:小澤祐作)

2021年01月11日(Mon)11時44分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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見応えのある攻防戦

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【写真:Getty Images】

 サッスオーロを率いるロベルト・デ・ゼルビ監督は、ユベントス戦後のインタビューで王者に勝てる自信があったと明かしている。そのコメントを笑う者はいないだろう。確かにサッスオーロは、ユベントスに対し勝ち点3を得るに値するゲームを披露していたのだから。

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 セリエAを9連覇しているユベントスに対して、いつもより少し遠慮してしまうチームは多い。規模の大きくないクラブは特にだ。ただ、それは無理もない。ユベントスの選手はそれぞれがハイレベルだし、そこへ恐れず真っ向からぶち当たれば、悲惨な結果を招く可能性も高いからだ。

 現地10日にアリアンツ・スタジアムへ乗り込んだサッスオーロも、クラブの規模は決して大きくない。しかし、彼らはユベントスに対して逃げ腰になることはなかった。むしろ、今自分たちにできることを全て出していた印象だ。

 イタリアで最も「ジョゼップ・グアルディオラ的」な監督と言われるデ・ゼルビ率いるサッスオーロは、GKアンドレア・コンシーリ含めた全員で後方から丁寧にパスを繋いでくる。ポゼッション率を高め、各選手のポジショニングを整備することで優位性を生み出し、ボールを動かし続けてじわじわと相手を押し込むのである。

 そのサッスオーロに対し、ユベントスは高い位置からボールを奪いに行くことを“基本”とはしなかった。最終ラインにはある程度ボールを持たせ、少しでも相手のコントロールが乱れたり、サイドに流してプレー選択を狭めた場合にプレスの強度を高め一気に捕まえるという作戦に出ていた。

 サッスオーロは守備時、高いポゼッション率を維持するためボールの即時奪回を狙う。つまり、高い位置からボールホルダーを捕まえに行くのである。

 サッスオーロの強度は高かった。実際、相手陣内でマイボールへ持ち込むことも少なくなかった。しかし、ユベントスイレブンの技術も当然ハイレベル。アウェイチームは素早くプレスを与えても剥がされてしまう、というシーンを作られていたのもまた事実だった。

 それでもサッスオーロが早い時間で崩れなかったのは、ディフェンスラインが機能していたからだ。

「今シーズンは過去2年間と比較して変わった。今はボックス内でのゾーン・マーキングを取り入れている」とデ・ゼルビ監督が話した通り、サッスオーロは自陣深い位置でスペースを確実に埋め、ユベントスをサイドへと追いやり、ゴールから遠ざけたのだ。

 これに対しホームチームは苦戦。パウロ・ディバラが負傷交代したことも響き、クリスティアーノ・ロナウドを中心に何とかゴールをこじ開けようとしたものの、45分間で得点を奪うことはできなかった。

 ただ、サッカーの戦術にリスクは付きものである。ユベントスを苦しめたサッスオーロも、もちろん例外ではなかった。

11人対10人も内容は拮抗

 前半終了間際、サッスオーロはペドロ・オビアングを退場で欠くことになった。先述した通り、守備時のチームとしての狙いはボールの即時奪回。それを遂行しようとし、フェデリコ・キエーザに深いタックルを見舞ってしまったのだ。

 こうして残り時間を10人で戦うことになったサッスオーロは、後半開始わずか5分で失点。ダニーロに強烈なミドルシュートを浴びたのである。

 一人少ない上に1点ビハインド。この時点で試合は一方的な展開となってもおかしくなかった。しかし、サッスオーロは失点から10分以内でスコアを振り出しに。ハメド・ジュニオール・トラオレのパスを受けたグレゴワール・デフレルがネットを揺らした。

 その後もペースを握ったのは10人のサッスオーロだった。デ・ゼルビ監督の下で育んできたポゼッションサッカーでユベントスイレブンを動かし続け、着実に体力を奪っていく。押し込まれても、前半同様粘り強い守備で2点目を許すことはなかった。内容は拮抗していたのである。

 冒頭でも記した通り、デ・ゼルビ監督は一人少なくてもユベントスに勝てる自信を持っていた。それは、後半途中にジェレミー・ボガやブライアン・オッデイという攻撃的な選手を送り込んだ交対策からも明らかだった。

 ただ、サッスオーロ側も体力の低下は避けられなかった。とくにこの日の相手はユベントスで、いつも以上の集中力と緊張感がいる。それに加え一人少ない状況。ユベントス側もかなり疲れていたが、サッスオーロの選手も肉体的にも精神的にも相当な負荷がかかっていた。

 そして82分に防波堤が決壊。ジャンルカ・フラボッタのクロスにアーロン・ラムジーが合わせ、ユベントスが勝ち越しに成功したのだ。

「ヴラド(・キリケシュ)は疲れていたと思う。ちょうど駆け上がっていたところだからね」とデ・ゼルビ監督は失点シーンを振り返っている。確かにCBのキリケシュは、失点シーンの直前に前線へ飛び出している。クロスを上げられた際には最終ラインへ戻っていたが、足を出すことができずボールを通されていた。

 まさに一瞬の隙を突かれたサッスオーロは後半アディショナルタイムにも失点し、1-3で敗北。「よく戦っていた」では片づけられないほど奮闘していたが、最後に燃え尽きてしまった。

 一方のユベントスは、らしい勝ち方だった。長い時間苦戦を強いられながらも、気づけば最終スコアでは差を2点に広げている。「我々はユーベであり、毎試合勝つというプレッシャーを受けている」とはアンドレア・ピルロ監督の言葉だが、まさに常に結果を求められるチームの底力のようなものを見た気がする(今回は数的優位という特別な条件付きだが)。

 前半は激しい攻守の攻防と駆け引き、人数に差が出た後半は意地と意地とのぶつかり合い。最後に言えるのは、ユベントス対サッスオーロは見逃し厳禁の好ゲームだったと言うことだ。

(文:小澤祐作)

【了】

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