久保建英の良さは数字に表れない。覆した固定観念、バルセロナ戦で見せた着実な成長とは?【分析コラム】

2021年04月23日(Fri)11時29分配信

シリーズ:分析コラム
text by 加藤健一 photo Getty Images
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ラ・リーガ第31節、バルセロナ対ヘタフェが現地時間22日に行われ、5-2でバルセロナが勝利を収めた。2試合ぶりに先発した久保建英は、今季リーグ戦初のフル出場。経験の少ない左サイドでのプレーとなったが、数字に表れない部分での貢献度は高かった。(文:加藤健一)

一時は同点も…。大量失点を喫したヘタフェ

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【写真:Getty Images】

 手負いのレアル・マドリードに引き分けたヘタフェの次なる相手はバルセロナ。レアル戦で今季10枚目のイエローカードをもらったアラン・ニョムが出場停止となったこともあり、久保建英に先発の機会が回ってきた。

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 久保は5-4-1の左サイドハーフでプレーした。先制された後、マッチアップするオスカル・ミンゲサが負傷の治療でピッチを離れた隙を突いた。マルク・ククレジャ、ネマニャ・マクシモビッチとの連係で左サイドに3対2の数的優位を作る。ククレジャがクロスを上げると、アンヘル・ロドリゲスが触れたボールはクレマン・ラングレに当たってゴールに吸い込まれた。

 ヘタフェはミスから2失点を喫したが、後半にわずかな希望を見出す。ルーズボールの競り合いに勝った久保がドリブルで深い位置に侵入する。ニアのエネス・ウナルに低い弾道のクロスを送ると、ロナウド・アラウホがウナルの足を踏んでしまう。OFR(オン・フィールド・レビュー)を経てヘタフェにPKが与えられ、ウナルがこれを成功させた。

 ヘタフェは1点差に追いついたが、終盤にバルセロナが突き放した。名誉挽回と言わんばかりにアラウホがコーナーキックを頭で沈めて4点目。後半アディショナルタイムにはアントワーヌ・グリーズマンがPKを成功させ、バルセロナは5-2で勝利を手にしている。

久保建英は数少ない攻撃の活路に

 大差がついた原因は同点とした後の2つの失点だ。ホセ・ボルダラス監督は試合後、「追いついた後、5分で可能性を捨ててしまった」と述べている。ソフラン・チャクラがプレッシャーのない場面でバックパスをオウンゴールとしてしまい、その5分後にはヘタフェのクリアミスがメッシのゴールにつながった。

 もし、後半のような戦いを90分続けていれば勝ち点を持ち帰るチャンスはあったかもしれない。3枚の交代カードを切って迎えた後半は前半のようなミスが減り、コンパクトな守備から得点のチャンスをうかがった。試合終盤に力尽きたが、後半の40分間は手ごたえを掴んだのではないだろうか。

 両者の順位や力関係を見れば、ヘタフェが苦戦するのは仕方ない。ヘタフェのボール保持率は20%を切ったが、2得点を奪っている。久保を中心とする左サイドが数少ない攻撃の活路となっていた。

 久保が向上を見せているのはディフェンス面だろう。3バックのバルセロナに対し、久保は対面するミンゲサの前に立った。絶妙な間合いで前へのパスコースを塞ぎつつ、ジェラール・ピケやセルヒオ・ブスケッツにボールが渡れば、プレスバックしてウイングバックのセルジ・ロベルトについていった。

 自陣に押し込まれた際は大外のスペースをカバー。5バックに吸収されるように低い位置まで対応し、中央を固めるヘタフェのディフェンスに貢献している。

数字に表れない久保建英の貢献

 サッカーには相手が存在する。自分とチームの特徴、そして相手の特徴が重なった結果がスコアとして反映される。もちろん、運の要素もそこには加わるが、自分の能力さえ発揮できれば成果が出るというような単純なものではない。

 久保は右サイドの方がいいというのは、一部の見ている側の固定観念に過ぎない。左サイドであれば縦へのベクトルを持つことが易しくなるし、キープ力のあるククレジャとのコンビネーションも活かせる。この日は右サイドのカルレス・アレニャが攻撃時は中央へ流れる形で、久保は左サイドに適応していた。一概には語れないが、ボールを持たれる展開では、左サイドの方が特徴を発揮できる場面は多いのかもしれない。

 ビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、久保が在籍していたときにこのような見解を示している。

「私としては、彼が快適にプレーできて、適応できるポジションを自分で見つけて欲しい。それが右サイドであることは明らかだが、左サイドでもプレーできるように成長しなければならない」

「良いプレーというのは、ゴールやアシストを記録したり、ドリブルで3回突破することではない。良い守備やプレス、ポジショニングこそがチームのためになり、そういったことに価値がある」

 もちろん、ゴールやアシストに絡めた方がいいに決まっている。しかし、数字にこそ表れないが、プレスバック、パスコースを切る動きで貢献していたことは間違いない。驚くほどのものではないが、久保は確実に成長のプロセスを踏んでいる。

(文:加藤健一)

【了】

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