グリーズマンはなぜ大活躍しているのか? バルセロナ逆転優勝のキーマン、新たな役割と数字に表れない貢献とは…【分析コラム】

2021年05月03日(Mon)11時42分配信

シリーズ:分析コラム
text by 加藤健一 photo Getty Images
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ラ・リーガ第34節、バレンシア対バルセロナが現地時間2日に行われ、2-3でバルセロナが勝利した。バルセロナは先制を許したが、アントワーヌ・グリーズマンのゴールで逆転。リオネル・メッシとともに最前線で起用されるグリーズマンは、公式戦直近5試合5得点と結果を残している。(文:加藤健一)

優勝争いに生き残ったバルセロナ

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【写真:Getty Images】

「我々はまだ生きている」と試合後に語ったのは、バルセロナでアシスタントコーチを務めるアルフレッド・シュロイデルだ。グラナダ戦で退場処分を受けたロナルド・クーマン監督の代行を務めたシュロイデルコーチは、非常に難しい一戦を乗り切った。

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 立ち上がりに決定機を作ったのはバルセロナだった。クレマン・ラングレの縦パスを合図に、リオネル・メッシ、ペドリ、アントワーヌ・グリーズマン、フレンキー・デ・ヨングがダイレクトでつなぎ、ペドリが右足を振り抜く。しかし、これは枠を捉えられず、最初の決定機をバルセロナは逃した。その後もチャンスこそ作るが、バルセロナは前半を0-0で終えている。

 バレンシアが後半の立ち上がりに先制した。ロングカウンターはGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンに阻まれたが、直後のCKからゴールが生まれた。カルロス・ソレールのインスイングのCKに、ファーサイドでガブリエル・パウリスタがダイビングヘッドで合わせた。パウリスタにはラングレがマークしていたが、バスケットボールのスクリーンのような動きでマークを剥がし、フリーの状況を生んだ。

 バルセロナはワンチャンスをものにされたが、ここから反撃が始まる。メッシの浮き球のパスがトニ・ラトの腕に当たり、バルセロナはPKを獲得。メッシのPKはGKヤスパー・シレッセンに阻まれたが、こぼれ球を拾ったブスケッツがゴール前にパスを入れ、ペドリがシュート。これもDFにブロックされたが、メッシが押し込んで同点とした。

 さらに、ジョルディ・アルバのクロスにデ・ヨングが2列目から走りこんで頭で合わせると、GKが弾いたところをグリーズマンが押し込んだ。その6分後にはゴール正面でFKを獲得すると、メッシのキックは鋭く曲がってゴールに吸い込まれた。

 83分にカルロス・ソレールの無回転ミドルシュートで1点を返されたが、バルセロナはリードを守り切った。グラナダ戦に敗れた前節の嫌な流れを引きずらず、バルセロナは勝ち点3を獲得している。

制約のあるグリーズマンの新たな役割

 ペドリが立ち上がりの決定機をものにしていれば、バルセロナはもっと楽な試合運びができたかもしれない。実際、ペドリは終盤に入って低調な試合が多い。ラ・リーガでフルシーズンを戦うのはこれが初めてで、UEFAチャンピオンズリーグやリーグ戦での優勝争いなど、プレッシャーのかかる試合が続いた。18歳の身体にかかる負担は精神的にも身体的にも相当なものだろう。

 一方で、ここにきて調子を上げてきた選手もいる。グリーズマンは公式戦直近5試合で5得点。2トップの変更に伴って、グリーズマンは最前線でプレーしている。

 グリーズマンの2トップというとアトレティコ・マドリード時代が想起されるが、あのころとは勝手が違う。アトレティコにはジエゴ・コスタやフェルナンド・トーレスのような「9番」の周囲を動くセカンドストライカーだった。しかし、バルセロナでの相棒はメッシ。メッシが自在にポジションを変える分、グリーズマンには制約が生まれている。

「センターバックの間からスペースに飛び込み、チームメイトのためにスペースを作る動きにトライしている。本来のポジションではないけど、チームメイトとバルセロナで最善を尽くし、ゴールやアシストを決めることに誇りを持っている」

 2得点をマークした先月25日のビジャレアル戦で、グリーズマンはこう語っている。バルセロナで与えられた役割はグリーズマンが慣れ親しんだものではなかったが、その中で最善のパフォーマンスを出そうと努力している。

好調な攻撃陣を引っ張るグリーズマン

 グリーズマンの言葉をふまえて2点目のゴールシーンを振り返ると、グリーズマンの果たす役割の大きさが確認できる。

 バルセロナはバレンシアの守備ブロックの前でボールを回し、左サイドに展開する。この時のグリーズマンの動きは一貫していて、右センターバックを務めたパウリスタの死角にポジションを取り続けている。以前であればライン間に降りて縦パスを引き出すこともあったが、それはペドリとメッシに任せている。

 グリーズマンがパウリスタの背後を取ることで、後ろのヒューゴ・ギラモンはそのサポートにつられる。すると、ファーサイドのスペースが空き、そこにデ・ヨングが飛び込んだ。このとき、ラトが負傷のためバレンシアはDFラインが1人少ない状況で、サイドバックのホセ・ガヤが絞るのが一瞬遅れた。バルセロナはその隙を見逃さなかった。

 最前線での役割を落とし込めるようになったことで、メッシとのコンビネーションも成熟している。グラナダ戦では2人の連係でゴールを奪うなど、両者の関係はバルセロナの新たなホットラインとなりつつある。

 守備陣の不安は気になるが、攻撃陣はラ・リーガで5試合12得点と好調を維持している。オフ・ザ・ボールでの貢献があるからこそ、フィニッシュの場面でグリーズマンにチャンスが回ってくる。前線からのプレッシングをはじめとする守備の貢献度は相変わらず高い。好調の要因としてグリーズマンの存在があることに、疑いの余地はない。

「我々は選手たちがラ・リーガを勝ち取ってくれると信じている」とシュロイデルコーチは試合後に述べた。次節のアトレティコ戦に勝利すれば、優勝へ大きく近づく。逆転優勝のキーマンは、グリーズマンかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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