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マンUはなぜ屈辱的な0点敗戦に終わったのか。結局は変わらぬ課題、“悪さ“が全て出た90分【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

シュート数28本も無得点の理由



 ユナイテッドはこの日、アストン・ヴィラに対し計28本ものシュートを浴びせている。相手のハイテンションな守備に対し効果的なビルドアップができていたかと言えば決してそうではないかもしれないが、やはりカウンターの威力や精度は光るものがあり、そこからチャンスを作っていた。

 では、なぜ90分間で1点も奪うことができなかったのか。その大きな理由は、ユナイテッドが長く抱えているウィークポイントにある。

 それは、攻撃時における個への依存性だ。

 先述した通り、ユナイテッドはカウンターなどから敵陣深くに入る機会を多く作っていた。しかし、仕上げの局面において“連係”というものは皆無で、フィニッシュの形はほぼ単独の仕掛けからというものになっていた。

 サッカーにおいて個の力は非常に重要で、上記したものを完全否定するつもりはない。しかし、この日のユナイテッドはあまりにもそれ一辺倒となってしまい、チームというよりは個人個人で相手と勝負している印象を受けた。

 仕上げの局面において単独での仕掛けがあまりにも続くと、守る側は意外にもプレーしやすくなる。相手のパスや動きによって目線や身体の向きを大きく変える必要がないからだ。そのため、シュートブロックなども比較的入りやすくなる。この日、ユナイテッドが放った計28本のシュートのうち、実に13本もブロックに遭っているのは、そうしたことも原因と言えるだろう。

 試合後にはオーレ・グンナー・スールシャール監督も「最後の判断、最後の部分の実行力、パスやシュートの質、決定力など、ゴールを奪うには十分ではなかった」と攻撃面についてコメントしている。とくに欠如していたのは「最後の判断」と言えるだろう。

 その「最後の判断」という部分を大きく欠いてしまったのが、あの男である。

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