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アーセナル、冨安健洋が見せた課題とは?すでに不動の存在だが、トッテナムに狙われたのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

エースが見せた特筆すべき動きの「質」



 アーセナルのホームでの「ノースロンドン・ダービー」は2019年9月以来の”有観客”で行われた試合だったこともあり、サポーターからの後押しが選手たちを勇気づけたことは間違いない。いつも以上に前線から激しいプレスを行うなど、スタメン出場した選手全員のコンディションが良かった。

 そして特筆すべき活躍を披露したのがキャプテンのピエール=エメリク・オーバメヤンだ。

 前節はボールをキープできず、不調気味だったオーバメヤンだが、今節はボールを引き出す動きと味方選手を活かすプレーの精度が抜群だった。

 右サイドでボールを受けたブカヨ・サカが縦に仕掛け、マイナス気味のクロスを中央に入ってきたフリーのエミール・スミス=ロウがゴールに流しこんだ先制点の場面。オーバメヤンはあえてファーポストにポジションを取ることで、スミス=ロウが入ってくるスペースを作り出してゴールを演出していた。

 また、自陣からのカウンターで生まれた2点目の起点となった場面。この時、トッテナムの右SBのジャフェット・タンガンガは前線に上がっており、右CBのダビンソン・サンチェスの裏には広大なスペースがあった。そのためオーバメヤンはサンチェス側でティアニーからのボールを引き出して、裏のスペースに走り出していたスミス=ロウにワンタッチでフリック。そのままスミス=ロウがエリア内まで仕掛け、マイナスのクロスをオーバメヤンが左足でゴールに流し込んだ。

 オーバメヤンの周りの選手を活かすプレーが非常に効果的だったことが、味方選手との連携で崩すことを得意としている2列目のサカやスミス=ロウのプレーを引き立てており、前半だけで3ゴールを奪う結果に繋がっていた。

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