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アーセナル、冨安健洋が最低評価となった理由。世界最高峰の舞台で突きつけられたSBとしての課題とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

冨安健洋は最低評価



 日本代表での活動が終わりチームへ戻ってきた冨安健洋は、この日も右サイドバックとして先発出場を果たした。しかし、サポーターを満足させるパフォーマンスを披露できたとは言い難い。データサイト『Sofa Score』によるレーティングは「6.2」となっているが、これは先発メンバーの中で最低の数字である。

 前節のブライトン戦ではマルク・ククレジャを前に大苦戦を強いられた冨安だが、この日はマッチアップしたオドソンヌ・エドゥアールに大きな仕事を与えなかった。空中戦で負けておらず、1対1で簡単にぶち抜かれるシーンもなし。守備の安定感は光っていたと言えるだろう。

 つまり、冨安が低評価となった理由は攻撃面にあるとみていい。

 背番号18は立ち上がり、ビルドアップ時に高い位置を取るのではなく、基本的に内側に絞り瞬間的な3バックを形成していた。しかし、この形が効果的だったとは言い難く、結果的に一列前のペペは孤立。そのサポートにトップ下のエミル・スミス・ロウが回ってきても、今度は中央のオーバメヤンが孤立することに。チームの攻撃がなかなか加速しない原因となっていた。ただ、ここに関しては冨安というより、アルテタ監督の采配にミスがあったと言っていいだろう。

 問題は後半だ。冨安は前半よりも前線に顔を出す場面が増えたが、味方選手を追い越すタイミングやポジショニングにはまだ課題を残していた印象が強い。56分にはタッチライン際でポジションが被ったペペとのパス交換がうまくいかずカウンターを浴び、最後はジョルダン・アイェウにシュートを放たれている。このシーンが象徴するように、この日は終始ペペとの連係がスムーズにいかなかった。唯一良かったのは、先制点を生んだ場面だけと言っていいだろう。

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