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アーセナル、冨安健洋の現地ファンも湧く圧巻の守備は…。アルテタ監督も名指しで称賛、そしてMVPは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

この試合で主役となったのは…



 この試合で主役となったのがアーセナルの新守護神アーロン・ラムズデールだ。アーセナルはレスターに8本の枠内シュートを打たれたが、その全てをラムズデールがセーブした。

 いずれのセーブも簡単なものではなかった。43分のユーリ・ティーレマンスの完璧に近いFKを指先で弾き出し、後半開始直後のルーク・トーマス、ルックマンが迎えた決定機も抜群のポジショニングと超反応でゴールを割らせなかった。

 仮に前半終了間際のティーレマンスのFKが入っていたら、1点差となっていたこともあり、両チーム共に違ったゲームプランになっていただろう。アーセナルのミケル・アルテタ監督も「ゴールが決まったと思った」と語っており、振り返るとこの試合の行方を決める最も重要なプレーだったのかもしれない。

 今となってはアーセナルの正GKに定着し、多くの好プレーでサポーターから称賛の声が寄せられているラムズデール。しかし、加入当初は高額な移籍金、2シーズン連続での降格を経験していることなどが理由で獲得に関して懐疑的な意見を持つ人も多かった。

 だが、ラムズデールが実際に試合に出始めてからは、徐々に批判的な声は少なくなっていった。ベルント・レノがスタメン出場していた第3節までにアーセナルは10失点を喫していたが、ラムズデールが正GKとなってからは7試合で4失点と大幅に失点が減少。当然、ラムズデールと同じタイミングでスタメンに抜擢されたガブリエウ・マガリャンイスや冨安健洋らの存在も大きいのだが、ラムズデールの活躍なくしてはこの結果にはなっていなかっただろう。

 それはセーブ率を見れば明らかだ。開幕からファインセーブを連発しているチェルシーのエドゥアール・メンディが90%という人間離れのセーブ率を記録しているが、ラムズデールはそれに次ぐ86%のセーブ率を記録している。

 高いセービング技術に加え、レノが苦手としていたビルドアップ能力にも長けており、今節レスター戦でもオーバメヤンに低い弾道で効果的なフィードを送るなど、攻撃面での貢献も大きい。攻守に渡る効果的なプレーは、好調アーセナルの原動力となっている。

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