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今季最高のレアル・マドリード。その中心にいたのは? チャンスに絡み続けた背番号11の献身性【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

今季最高の試合が出来た要因は…



 これまでのレアル・マドリードであれば、キックオフ直後はゆったりと試合を進め、徐々にペースを掴む傾向があった。しかし、この日のレアルは前半の勢いそのままにいきなり畳み掛ける。

 グラナダのプレスをものともしない速いパスワークで、再三決定機を迎えたレアル・マドリードは56分、相手のクロスをカゼミロが奪うとそこから華麗なカウンター。裏へ抜け出したベンゼマ→モドリッチと繋ぎ、最後はビニシウスが押し込み、点差を2点に広げた。

 3点を決め、点差を広げても攻撃の手を緩めないレアル・マドリードはさらに76分、ピッチ中央付近でカゼミロがボールを持つと、裏へ走ったフェルラン・メンディに見事なスルーパス。完全に相手の背後を取り、ゴール右隅に冷静に沈めて4点目を決めた。

 ヴィニシウスの覚醒やベンゼマの好調など、完璧な試合運びが出来た要素は各所にあるだろう。だが何より、今季レアル・マドリードに復帰したカルロ・アンチェロッティ監督のサッカーが浸透し、チームとして完成しつつあるように見えた。

 ジョゼ・モウリーニョ政権下のような、前線数人での高速カウンター。モドリッチ、クロースを中心とした華麗な連係。さらにはヴィニシウスらの個人技と、この試合では多彩な攻撃を最適な場面で選択し、どの攻撃でも決定機を作れていた。

 守備では相手にシュート11本を許したが枠内を捉えたのは3本のみ。4本は枠外、残りの4本はシュートブロックと、安定した守備でほとんど相手に決定機を作らせなかった。

 この日のレアル・マドリードは攻守ともに、今季最高の内容だったといっても過言ではないだろう。

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