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久保建英 2年前

久保建英がアトレティコに地獄を見せた。高難度ミッションを遂行、ゴールシーンに表れた頭の良さとは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ゴールシーンは久保の頭の良さが出た



 このゴールシーンは、久保のIQの高さがよく表れたシーンだったと言える。

 DFが弾き返したボールを頭で味方に繋いだ久保は、そのまま右サイドに流れ、完全にボールウォッチャーになっていたマルコス・ジョレンテの背後を完璧に突いた。この時、中央にはコケが残っていたのだが、彼はオフサイドを狙ったのだろう、久保にパスが出る直前、少し前に出ている。しかし、背番号17はハーフウェイラインの内側からランニングしたため、オフサイドはなかった。

 結果的に少しだけ前に出たコケのカバーが遅れたことで、久保は独走でゴール前へ侵入している。ドリブル中に二度も首を振って相手が間に合っていないことを確認しており、それが落ち着いたボール運びに繋がっていた。フィニッシュの場面では少しタッチが乱れた感じもあったが、冷静に流し込んでいる。

 試合はそのまま2-1で終了。久保はホームサポーターのブーイングを巻き起こし、そしてマジョルカに8試合ぶりとなる勝利を届けた。

 試合後、久保はスペイン『モビスター』に対し「試合前、監督から素晴らしい話があり、とても良い準備をして試合に臨めました。前半は非常に均衡していて、後半になると彼らはプレッシャーをかけてきましたね。難しい試合になることは分かっていました」とコメント。続けて「アトレティコは1-0から逆転されることがほぼないチームです。少し運が良かったですが、最後までトライし続けた結果、うまくいきました」と話した。

 またゴールシーンについては「決勝ゴールを決めるつもりでいました。映像を見ると分かりますが、僕はゴール前で少し緊張し、タッチが短くなってしまいました」と振り返っている。そして「僕は100%マジョルカに尽くしていますが、もし(レアル・)マドリーを助けられるなら、それも喜ばしいこと」とも話していた。

 戦列復帰してまだ間もない久保。決して満足いく出場時間を得られているとは言えないが、その中でも目に見える結果を残したのは何より素晴らしいことであり、今後の弾みにもなるだろう。年内のリーグ戦は残り2試合。やはり、久保のプレーから目が離せない。

(文:小澤祐作)

【了】

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