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藤本寛也「あの1点は大きかった」。ダービーマッチで先制点&MVP獲得、ジル・ヴィセンテの大勝に貢献

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

藤本寛也
【写真:舩木渉】



 ポルトガル1部リーグ第13節が現地5日に行われ、日本人MF藤本寛也が所属するジル・ヴィセンテはファマリカンに4-0で大勝を収めた。

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 隣町同士のクラブによるローカルダービーは、開始3分にいきなり動いた。味方からパスを受けて左サイドからFWサムエル・リーノがカットインすると、右側から斜めに横切るように藤本が飛び出す。

 そしてリーノの絶妙なスルーパスを受け、GKと1対1になった藤本はギリギリまで動きを見極めてループシュート。完璧なラインブレイクからの冷静なフィニッシュで、値千金の先制ゴールを奪った。

「あの形は今季になって頻繁にやっている動きで、(パスを)出してくれる選手もいますし、自分がああやって抜け出して(ゴールという)形になったのは初めてだったかなと。パスが良かったですし、パスを出した瞬間に相手も動きが止まっちゃっていたので、自分がフリーになって、いい形でシュートを打てたかなと思っています」

 今季は4-3-3の右インサイドハーフに固定されている藤本は、水を得た魚のように躍動している。背番号10を託され、ジル・ヴィセンテの絶対的な中心選手になりつつあるところだ。

 ゴールを振り返った藤本は「ああいう(斜めに抜け出す)動きは小さい頃からもともと得意でした」と明かす。フィニッシュの局面に堂々と飛び出していけるのは「右のインサイドハーフで出られている」ことが大きいという。

「あの後もゲームの主導権をうちが握っていたので、あの1点は大きかったし、時間帯もよくて、うちも勢いづいていけた。相手も少し落ちていた部分があったので、結果的に良かったかなと思います」

 藤本のゴールで先制したジル・ヴィセンテは前半だけで3点のリードを奪い、後半にも4点目を追加。ダービーマッチを制し、リーグ戦では3試合ぶりの勝ち点3を手にした。そして、藤本自身はリーグ第11節のアロウカ戦以来、今季2度目となるマン・オブ・ザ・マッチ(試合のMVP)に選ばれた。

「こういう賞をもらえるのは、ゲーム全体を見て評価されているからだと思うので、素直に嬉しいですし、自信にもつながるので、もっと取れればいいかなと思います」

 2得点を挙げたFWフラン・ナバーロを抑えてのマン・オブ・ザ・マッチ受賞に、藤本は「前回は引き分けで、今回の方が試合(の結果)も良かったし『もらったな』という感じがして、良かったです」と手応えを語る。

 ただ、過信しているわけでも、成果を過度に誇るわけでもない。マン・オブ・ザ・マッチのトロフィーは自宅などに飾らず、「キャリーバッグに入っている」という。なぜなら「帰った時に両親にわたせればいいかな」と考えているから。

 ポルトガルリーグ参戦2年目で飛躍する藤本は「自分のプレーに集中して、1試合を通していいプレーができて、おまけでこういうもの(マン・オブ・ザ・マッチ)がもらえたら嬉しい」と、これまでと変わらない謙虚な姿勢を貫いていた。

「あまりゴールを取るのは得意じゃないというか…‥あまり取る人ではないかな、と。逆にチャンスメイクの方が多くて、しやすいし、まだ(ゴール数は)少ない。自分はインサイドハーフの選手だし、あそこのポジションでも、もう少しゴールだったりアシストに絡んでいきたいと思っています」

 ジル・ヴィセンテはリーグ戦13試合を終えて4勝5分4敗で、18クラブ中8位につけている。残留争いに巻き込まれた昨季と打って変わって、欧州カップ戦出場権も狙える位置だ。藤本には中心選手として、さらなる上位進出への貢献が期待される。

(取材・文:舩木渉)

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