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リバプールはなぜ苦戦?得点力不足のトッテナムに2失点、両者にあった大きな差とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

この試合で再確認させられたファビーニョの重要性


 そしてこの試合で再確認させられたのがファビーニョの重要性だ。

 リバプールの4-3-3のシステムでアンカーを務めることが多いファビーニョは、対人戦の強さとカバーリングエリアの広さで相手からボールを奪取することを得意としている。昨季、怪我人が続出した際にはCBとしても高いレベルでプレーしていた。

 CBとしてもプレミアリーグで十分に戦える守備力を誇るファビーニョが普段のリバプールでは中盤にいるのだが、今節は新型コロナウイルス陽性により欠場を余儀なくされた。

 代わりに今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)で印象的な活躍を披露していたタイラー・モートンがプレミアリーグ初先発を飾ったが、カウンター時にフィルターとして機能することができず、データサイト『Sofa Score』によるとタックル数は0回に終わった。

 インサイドハーフで先発出場したナビ・ケイタとジェームズ・ミルナーも怪我明け間もないということもあり、プレミア初先発のモートンをサポートできるほどの余裕がなかった。こうした背景もあり、今節トッテナム戦ではカウンターから多くの決定機を作られることとなってしまった。 

 だが、この事態に陥ることは試合前から予想がついていた。中盤がフィルターとして機能しなかったこの現象は昨季も起きており、ファビーニョがCBで起用、もしくは怪我で不在だった時に多く発生していた。

 現在のリバプールにはファビーニョと19歳のモートンを除いて、ベストポジションがアンカーの選手がおらず、このブラジル人への依存度が最高潮に高まっている。今後も引き続き新型コロナウイルスの脅威があるということを考えると、今冬にも新たに即戦力級の守備的MFをスカッドに入れるのが得策だろう。

(文:安洋一郎)

【了】

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