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突然の衝撃…“最強”を崩壊させたアフリカの才能。スターダムを駆け上がった男は…【レッドブルの戦略(1)】

text by カラン・テージワーニ photo by Getty Images

巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る『エクストリームフットボール』(12月20日発売)より、一部抜粋して全3回で公開する。今回は第1回。(文:カラン・テージワーニ)

誰もが夢中に。欧州を制する才能

サディオ・マネ
【写真:Getty Images】

 2014年の1月18日、バイエルン・ミュンヘンはレッドブル・アリーナでロジャー・シュミット率いるレッドブル・ザルツブルクとフレンドリーマッチを行った。ヨーロッパ王者であり、ペップ・グアルディオラが監督を務めていた当時のバイエルンはヨーロッパでもトップクラスのチームであり、練習試合はシーズン途中のウォーミングアップとなる予定だった。

 しかし、オーストリアの強豪は野心に溢れており、バイエルン相手に自分たちの能力を示そうと考えていた。マヌエル・ノイアーやトニ・クロース、チアゴ・アルカンタラやトーマス・ミュラーのようなトップ選手を揃えたバイエルンと比べると、当時サディオ・マネはまだまだ知られていない選手だった。

 しかし、このセネガル人FWは印象的なパフォーマンスでチームのMVPとなる。彼は先制点を決め、2点目の起点となるPKを獲得。3点目の起点となるチャンスを創出すると、後半にはヘディングがポストに直撃。83分間のプレーでバイエルンの経験豊富なバックラインを容赦なく崩壊させた。

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 バイエルンを観戦していたスカウトですら夢中にさせてしまう21歳の若者はヨーロッパの強豪にも着目される選手に成長していく。リバプールやドルトムントが彼に興味を示し、グアルディオラも練習試合の半年後にはバイエルンのフロントにマネ獲得を進言していた。

 プレミアリーグを新たな挑戦の舞台に選んだマネが最初に移籍したのはサウサンプトンだった。ロナルド・クーマンが再建を目指していた時期にクラブに加入したマネはチームで主力に定着する。2016年にはリバプールに移籍し、そこではチャンピオンズリーグを制覇。アフリカ最優秀選手にも選出され、バロンドール授賞式でも4位という好成績に輝いた。

(文:カラン・テージワーニ)

『エクストリームフットボール』

<書籍概要>
定価:1980円(本体1800円+税)

アンチ上等! サッカー界の既成概念を「再配合」するレッドブル帝国の正体
衝撃的ともいえるそのスピードと徹底的なチームの献身性――。レッドブル・ザルツブルク、RBライプツィヒなどの背後に君臨するレッドブルグループは世界中のスポーツ界で勢力を伸ばしつつある。一方でピッチ外でも展開されるマーケティングによって利益を得ることに長けた彼らのアンチも少なくない。巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る。

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【了】

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