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リバプール、南野拓実は最高のピースだった。ゴールだけではない、実に効果的だったプレーとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

南野拓実は最高のピース



 74分、南野はオックスレイド=チェンバレンに代わり右ウイングとしてピッチに立った。するとその3分後、相手ビルドアップのミスから絶好のチャンスを迎え、最後はロベルト・フィルミーノのパスを受けた南野が無人のゴールへシュート。これが決まり、リバプールは3-0とさらに相手を突き放すことに成功した。

 相手にビルドアップミスが生じたのは、前線の連動したプレスあってのことだ。南野とジョタの両WGでGKの左右のパスコースを潰し、ボールの逃げ場所を中央に限定させる。そして、フィルミーノがしっかりとその中央を消したことで、高い位置でのボール回収に成功した。ゴールシーンは難しい体勢ながらリターンパスを出したフィルミーノに感謝といったところだが、そこに至るまでは南野の貢献度も非常に大きかったと言える。

 27歳のバースデーを自ら祝福した南野は、メンタル的にもかなり楽になったのか、その後も溌剌としたプレーを披露している。守備の意識は抜群に高く、豊富な運動量と走力を活かし、いけるところまで果敢にプレスをかけた。

 ブレントフォードは前半から前に出るもそれをかわされ続けており、疲労はピークに達していた。そんな中で南野やジェームズ・ミルナーのような途中出場の選手がガンガン前からプレスをかけてくるので、ボールを持ってもやはり繋げない。彼らのような存在は、アウェイチームにとって厄介でしかなかった。

 88分、南野は鋭いプレスからボールを奪い、フリーで走っていたカイデ・ゴードンにラストパス。同選手がGKとの1対1に負けてしまったためアシストはつかなかったが、同シーンのように、ボールを持ってからの素早くシンプルな選択がこの日は光っていたように感じる。前に出てくるブレントフォードに対しては、そのようなプレーが実に効果的だった。

 出場時間こそ決して多くなかったが、3日前のアーセナル戦で決定機を外し痛烈な批判を浴びた南野にとって、このブレントフォード戦で結果を残せたことは何よりも大きい。ただ、モハメド・サラー、サディオ・マネがしばらく不在となる中、まだまだアピールを続けてほしいところである。

(文:小澤祐作)


【了】

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