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前田大然、無得点が続く理由とは? 進む「前田対策」、不振が続く原因は…【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

旗手怜央との共通項



 背番号38の日本代表ストライカーは、この試合で6本のシュートを放った。そのうちゴールの枠内に飛んだのは1本だけだった。ギリギリのところでシュートに至らなかったものも含めれば、10回以上ゴール前でチャンスを迎えながら結果を残すことができなかった。

 試合はボール支配率76%を記録したセルティックが圧倒する展開で、ほぼハーフコートゲームになっていた。セルティックは21本のシュートを放ち、対するセント・ミレンはシュート4本に抑え込まれていた。

 山ほどチャンスがありながら、ゴールを決められないのはなぜか。現地スコットランドでもいくつか原因が指摘されている。そのうちの1つは「勤続疲労」によるパフォーマンスの低下だ。

 これは最近になって前田だけでなくMF旗手怜央のインパクトも薄れてきていることから、両者に共通する要素として『デイリー・レコード』紙が取り上げたものだ。

 2020年7月上旬にコロナ禍でJリーグが再開してから現在まで、旗手は公式戦104試合、前田は89試合をこなしており、それがパフォーマンス低下の要因になっていると同紙は指摘する。クラブの試合だけでなく東京五輪など代表活動でも休みなく働いてきた2人は、日本でのシーズンを終えてすぐスコットランドで試合に出るようになり、疲労が蓄積したままになっていると見ているのである。

 確かに旗手に関しては勤続疲労も一理あるかもしれない。だが、タフさが売りで横浜F・マリノス時代に1試合50本以上のスプリントをコンスタントに記録してきた前田の事情は違っているのではなかろうか。旗手よりも長いオフ期間もあり、休息が特別に足りていないとは言い難い。

 それよりもセルティックの国内リーグでの立ち位置や、対戦相手の戦術、そして前田への対策が進んだことの方がゴールから遠ざかる要因になっていそうだ。

 そもそもセルティックはスコットランド国内でレンジャーズとともに圧倒的な強さを誇るクラブの1つで、対戦する相手はほぼ確実に守備的な戦いを挑んでくる。自陣に引きこもり、ゴール前を固めてセルティックの猛攻に耐えるのが定番の展開だ。

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