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バルセロナはなぜ勢いを失ったのか? ガラタサライ戦はまさかの無得点。苦しめられた厄介な存在は…【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

流れを変えたシャビ監督の大胆采配



 その状況を受け止めたシャビ・エルナンデス監督は後半、悪い流れを断ち切ろうと大胆な采配に着手。ニコ、アラウホ、F・トーレスを下げ、セルヒオ・ブスケッツ、ジェラール・ピケ、ウスマンヌ・デンベレを送り出したのである。

 結果的に、この采配はチームに勢いを与えることになった。

 ブスケッツがアンカーに入り、動的なデ・ヨングがインサイドハーフに入ったことで、積極性を欠き静かだったニコがいた前半よりもゴール前の厚みが増している。そうすることでガラタサライ守備陣を必然的に深い位置に固定させることができ、より高い位置でボールを動かすことが可能となったのだ。前半潰され続けた“9番”が、後半に入りライン間で受ける回数が増えたのも、インサイドハーフのポジショニングが関係していると言えるだろう。

 ガラタサライはそれでも守備の形を大きく変えていないので、バルセロナはビルドアップ時にCBのピケとエリック・ガルシアのどちらかが余る。そのため彼らは、背後のリスク承知でかなり高い位置においてビルドアップに絡んでいる。まさに「ハーフコートゲーム」だった。

 こうしてバルセロナはいとも簡単にガラタサライ陣内深くまで侵入した。デンベレはボールロストも目立ったが何度か変幻自在な仕掛けで相手に恐怖心を与え、A・トラオレは相変わらず1対1を仕掛け続ける。あとは仕留めるだけ、という状況だった。

 しかし、バルセロナは後半だけでシュート12本を放つも、結局ゴールネットを揺らせぬまま試合終了のホイッスルを迎えている。攻めることはできていたが、結局は仕上げの質が足りなかったのだ。ガラタサライ守備陣にも隙がなかったわけではないので、やや自滅感は否めなかった。

ただ、無得点に終わった理由は自分たちだけにあるのではない。この日のガラタサライには、厄介な人物がいたことも事実だ。

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