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なぜ撃ち合いに? リバプール対マンチェスター・シティは決着がつかず。両者とも抑えられなかった攻撃の要【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

両チームの鍵を握っていたポジションとは…



 そのポジションとは 、サイドバックだ。

 知っての通り、リバプールは右のトレント・アレクサンダー=アーノルドと左のアンドリュー・ロバートソンを起点に攻撃を展開する。13分の場面では、ロバートソンが入れたクロスを逆サイドのアーノルドがダイレクトで折り返してジョタのゴールをアシストと、両サイドバックで相手DFを揺さぶり、同点ゴールを演出。さらに16分の場面では、ロバートソンの一振りからマネとモハメド・サラーが抜け出し、チャンスを迎えていた。

 この2人の関係でなく、フィルジル・ファン・ダイクからアーノルドへのロングパスもリバプールの武器だ。リバプールの2点目は、このロングパスのこぼれ球を拾ったジョーダン・ヘンダーソンからアーノルド→サラーと繋ぎ、最後は裏に抜け出したマネがゴールを決めている。

 対して、執拗にリバプールDFラインの裏を狙っていたマンCは、カンセロを起点に攻撃を展開した。29分の場面では、サイドライン際に立っていた同選手がアーノルドの背後から抜け出して、決定機を演出。さらに34分にも同様の形から抜け出してシュートを放つなど、マンCのチャンスはこの男の動き出しから生まれていた。

 カンセロが起点となっていたため、カイル・ウォーカーが前線でボールを受ける場面は少なかったが、16分にはジェズスへのピンポイントパス。19分にはベルナルド・シウバからのロングパスに抜け出してクロスを上げるなど、ボールを持てば存在感を発揮していた。

 4-3-3でこの試合に臨んだリバプールは、守備時に4-5-1へ変更。両ウイングがサイドバッグのマークに付くためプレスには出ず、最前線のジョタとインサイドハーフの選手がCBへプレスをかけていた。対して、マンCは両ウイングが最終ラインまで下がるなど、互いにサイドバック対策はしていた。それでも互いに止めることは出来なかった。事実、アーノルドとカンセロは1アシストを記録と、直接ゴールに関与している。

 仮にどちらかのチームが相手のサイドバックを完全に抑えることが出来ていれば、勝利を手に出来ていたかもしれない。この試合では、それほどまでに両者のサイドバックが及ぼす影響が大きかった。

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