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バルセロナ、なぜ絶不調に? 繰り返された“同じ過ち”と、あの男の不在による影響とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

やはり響いているあの男の不在



 その人物こそペドリである。

 バルセロナの未来を担っていくであろう19歳は、左大腿二頭筋断裂により戦線離脱することが15日にクラブより発表されていた。全治などの期間は明らかになっていないが、スペイン紙『マルカ』などは今季中の復帰は絶望的との見方も示している。

 絶好調だったペドリの離脱は、チームに大きな影響を及ぼしている。それは今回のラージョ戦でも明らかとなった。

 オーソドックスな4-4-2でハイプレスをかけてきたラージョは、徹底的にアンカーのブスケッツを封じた。そしてインサイドハーフのフレンキー・デ・ヨングにはマンマークで対応。心臓である背番号5と推進力のある背番号21を抑えられたバルセロナは、スムーズなビルドアップに苦しみ、ブロック外でのパス回しが散見。崩しのほとんどはデンベレの個人技頼みとなっている。確かにデンベレは怖い存在だが、そこからのクロスは中央を固めるラージョにとってあまり脅威ではなかった。

 ペドリの場合、相手との駆け引きを制しポジショニングの時点で優位に立ち、スペシャルな技術でマークを剥がす。そして相手の陣形をズラしたところで味方の良さを引き出すも良し、自らが主役になるも良しと、なんでもできた。彼がいるだけで、バルセロナの攻撃の質は自然と高まっていた。とくにバイタルエリアでの仕事ぶりは、何度もチームを助けていた。

 しかし、今はそのペドリがおらず、今回のラージョ戦のようにとくに心臓ブスケッツが消されると、途端に何もできなくなる。事実、そんな中バルセロナは、カディスそしてラージョという格下相手に点を取ることができなかった。

 またバルセロナは今季リーグ戦で6敗しているが、その全てがペドリ不在時のもの。絶対的司令塔のブスケッツが封じられても何とかできたスペシャルな存在の有無が、試合結果に影響を及ぼしている証拠としては十分過ぎるデータだ。

 上記の通り、ペドリは今季絶望の可能性がある。その中で、今後バルセロナはどのように勝ち点を稼いでいくのか。CL出場権獲得に向け、重要な宿題と言える。

(文:小澤祐作)

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