フットボールチャンネル

上田綺世、ベルギー初ゴールまでの道のり。鍵は起用法の変化、明らかに向上したデータとは?

text by 編集部 photo by Getty Images

海外日本人選手 最新ニュース


【写真:Getty Images】



上田綺世、ついにベルギー移籍後初ゴール!

 ベルギー1部リーグ第6節が現地27日に行われ、セルクル・ブルッヘはズルテ・ワレヘムと1-1で引き分けた。



【今シーズンの欧州サッカーは「DAZN for docomo」で!
いつでもどこでも簡単視聴】


 この試合ではセルクル・ブルッヘに所属する日本代表FW上田綺世が、加入後初ゴールを挙げている。前半の11分、左サイドのスローインの流れからFWケビン・デンケイの落としを受けた上田は、右足でゴールの右隅を射抜いた。

 リーグ戦6試合目の出場で、ようやく決まった初ゴール。試合結果は引き分けだったが、上田のゴールによってセルクル・ブルッヘはチームとして進むべき道がはっきりしたと言えそうだ。

 今季開幕は4-2-3-1を基本システムとして戦っていたセルクル・ブルッヘ。しかし、ドミニク・タールハマー監督が上田を本職でないトップ下で起用するなど、選手たちのポテンシャルを完全に引き出せていたとは言えなかった。

 第2節からはストライカーとして起用されるようになったものの、1トップの上田が孤立する時間が長くなってしまう。なかなかビルドアップがうまくいかず、後方から前線にロングボールを放り込む確実性の低い攻撃に終始。開幕から5試合でわずか2得点という得点力不足に苦しんでいた。

 その流れが変わり始めたのは、第5節ゲンク戦の後半だった。前半はこれまで通り4-2-3-1でスタートしたセルクル・ブルッヘは、後半開始からMFティボ・ソマースに代えてデンケイを投入。システムも上田とデンケイが2トップに並ぶ4-4-2に変えて、一時は同点に追いつくなど攻撃面に大幅な改善が見られた。

 そして、タールハマー監督は27日に行われた第6節のズルテ・ワレヘム戦で引き続き4-4-2を採用。上田とデンケイの2トップが機能し、序盤から多くのチャンスを作った。

 チームはもちろん、上田自身のズルテ・ワレヘム戦のスタッツにもこれまでとの大きな変化が現れている。特にシュート数の向上は、いかに多くのチャンスに絡めるようになったかの証明と言えるだろう。

第1節 ウェステルロー戦:0本
第2節 アンデルレヒト戦:1本
第3節 スタンダール・リエージュ戦:0本
第4節 メヘレン戦:2本
第5節 ゲンク戦:0本
第6節 ズルテ・ワレヘム戦:6本

 ズルテ・ワレヘム戦での上田は、開始2分でヘディングシュートを右ゴールポストに当て、直後の4分にソマースのシュートチャンスを演出。8分にもシュートを放ち、11分にゴールと序盤からエンジン全開でチームの攻撃を活性化した。

 隣にデンケイという2人目のターゲットが生まれたことでビルドアップもスムーズになり、2トップがお互いにチャンスの起点として機能。セルクル・ブルッヘは今後も4-4-2での戦いを継続していくことになるだろう。

 新システムはもちろん上田にとっても追い風だ。6月の日本代表活動の際、鹿島アントラーズでFW鈴木優磨と組む2トップの関係性について、次のような手応えを語っていた。

「1トップは器用さが求められると思っていて、2トップだったら(2人で)うまく分担したり、もう片方の選手の能力に若干依存する部分もある。今だったら(鈴木)優磨くんがどちらかというと器用な立ち回りをしてくれているので、僕はゴールを狙うことに専念できているところもあります」

 森保一監督が率いるサッカー日本代表でエースの座をつかむなら1トップへの適性は重要だが、まずはクラブで結果を残さなければ候補にすら入れない。上田のようなプレースタイルの場合、相方の力を借りながらゴールに向かっていくプレーの回数を増やし、フィニッシュの精度を上げていく戦い方がマッチしているのだろう。

 セルクル・ブルッヘはリーグ戦6試合を終えて1勝2分3敗となかなか満足のいく結果を出せていない。4-4-2の採用で変わり始めた流れに乗り、上田がチームを導く存在となれるか。28日に24歳の誕生日を迎えた日本代表ストライカーのゴール量産に期待したい。

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top