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アーセナルの攻撃が機能しなかった3つの理由。共存が難しい2人とは?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

不在時に再認識させられる最重要選手たち



 それでも前半は片手で数えられる程度だが、何度かチャンスを作れていた。それは右WGにサカがいたからである。

 サカのドリブル突破と彼が起点となるコンビネーションは、この試合におけるアーセナル最大の武器だった。しかし、サカに対する攻撃の依存度はあまりにも高く、彼がベンチに下がった59分以降は完全に攻撃陣が沈黙してしまった。

 この展開でもガブリエウ・ジェズスがピッチにいたらまた違った展開になっていたのだろうが、同選手は脳震盪のために今節はベンチからも外れていた。

 代わりにエディ・エンケティアがスタメンフル出場を果たしたが、ボールを引き出す動きも、ポストプレーの質もジェズスとは雲泥の差があり、シュートも枠外へと消えていった1本に留まるなど精彩を欠いた。

 この試合だけを切り取ると、ウーデゴールとヴィエイラを同時にインサイドハーフで起用する難しさ、攻撃におけるサカとジェズスへの依存度の高さが改めて顕著になったのはネガティブな要素だが、今後ELを勝ち上がっていく上ではポジティブな要素になるかもしれない。

 というのも、アーセナルが所属するグループAの最大のライバルであるPSVとは、エリザベス二世の国葬の関係で試合が延期となっており、2試合の対戦を残している。ELの決勝トーナメントにストレートで通過するには首位通過しか方法がないため、勝ち点2差でアーセナルを追うPSVとの一戦は何としても負けられない。プレミアリーグとの兼ね合いもあるためターンオーバーをしながらの戦いが予想されるが、PSVとの対戦を前に相性の悪い組み合わせと、攻撃を完結させるために欠かすことのできない選手が事前に明らかになったのはポジティブに捉えるべきだろう。

 PSVとの延期試合は現地時間、来週の木曜日に開催されることが決定しており、今節の反省を生かす場が早くも訪れる。

(文:安洋一郎)

【了】

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