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すんなり喜べないバルセロナの勝利。レバンドフスキ依存の先にある落とし穴とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

バルセロナの劇的な勝利を喜べない理由

 もちろん3日前にCLのグループ敗退が決定し、かつカンプ・ノウでバイエルンに粉砕されるという憂き目にあいながら、チームとして崩壊しなかっただけでも、バルセロナが並のチームではないことの証である。もちろんバレンシアは、選手個々のクオリティやプレスの強度という点でバイエルンに劣るし、その比較的緩いプレッシャーの中で、例えばセルヒオ・ブスケッツやペドリはかなり余裕をもってプレーすることができた。

 仮にCLバイエルン戦の直後の試合がレアル・マドリード戦だったら、目も当てられない状況になっていた可能性もある。だが、CLもしくはELといった欧州の大会に参戦してないバレンシアであれば、チーム状態が悪くてもバルセロナであれば確かに勝ち切ることのできる相手ではあるし、むしろ勝ち切らなくてはならない相手、と言った方が適切だろう。

 そもそもFCバルセロナの本来の立ち位置を考えれば、“CL敗退にもかかわらずチームとして崩壊せずに中堅クラブに勝利したこと”を評価するのは、長きにわたってカンプ・ノウに詰めかけてバルセロナを愛するクレたちからすれば、屈辱的なのかもしれない――ふざけるな、勝って当たり前だ、と。もちろんこれは極端な考え方ではあるが、いずれにせよバレンシアに辛うじて勝っただけで、何日も喜びを爆発させるクレはいないだろう。

 そして、すんなり喜べない他ならぬ理由は、得点を決めたのが“レバンドフスキ”だからだ。

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