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レアル・マドリードの思惑にリバプールは溺れた。勢いを失ったワンプレー【欧州CL分析コラム】

text by 編集部 photo by Getty Images

リバプールを黙らせたアンチェロッティの秘策



 後半にレアル・マドリードがペースを掴んだもう一つの要因が、右のインサイドハーフで先発していたフェデリコ・バルベルデを左に移したことである。

 前半にレアル・マドリードの守備陣はサラーとヘンダーソン、トレント・アレクサンダー=アーノルドの3選手を捕まえることができず、リバプールの右サイドから多くのチャンスを作られていた。これに対してカルロ・アンチェロッティ監督は、後半に機動力と高い強度を兼ね備えるバルベルデを左に移し、リバプールの攻撃の起点を潰した。

 このアンチェロッティ監督の采配によって後半、リバプールは右サイドを起点としたチャンスをほとんど作らせてもらえず、チャンスの数が大幅に減少。それはゴール期待値にもハッキリと表れており、後半はわずか0.23に留まった。

 レアル・マドリードはアウェイで2点のビハインドを負うという難しい展開でも、焦ることなく同点に追いつき、指揮官の的確な采配でさらに自分たちのペースへと持っていった。2ndレグがあるため、ベスト8進出が決まったわけではないが、王者の貫禄を存分に見せつけた一戦となった。
(文:安洋一郎)

【了】

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