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5バックを破壊! バルセロナは守備自慢のアトレティコをどう攻略した?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

アトレティコ攻略へ。シャビ監督の狙いは?



 バルセロナはボールを保持しながらじわじわとゲームを支配していくチームだが、この日は縦に攻撃を急いでいる印象を受けた。その理由は、シャビ監督がアトレティコ攻略のための明確な狙いを持っていたからだろう。

 アトレティコは守備に強みを持っているチームだ。この日も5-3-2のコンパクトなブロックでバルセロナの攻撃を迎え、球際では激しくファイト。その強度の高さはさすがといったところだった。

 当然ながら、ブロックの外でパスを動かし続けるだけではアトレティコの守備は崩れない。しかし、隙がないわけでもない。その隙というのが、後ろ5枚の陣形がバラバラになった時だ。

 ではバラバラになる瞬間はどう生まれるのか。たとえば、アトレティコが攻撃に転じようとした時に即時奪回できれば、彼らの陣形は整っていない状態。また、ウィングバックの背後を取り、3バックの一角を釣り出すことも一手だ。

 シャビ監督は、ポゼッションよりも上記のものがアトレティコ攻略の最適解になることを理解していたのだろう。WBの背後を目掛けたロングボール、そしてクロスボールを多用すると同時に、2次攻撃による守備陣形破壊をこの日の明確な狙いとして持っていたと考えられる。

 完璧にハマったとは言い難いが、チャンスは作れている。44分に生まれたF・トーレスのゴールは、やはりWB裏、CB脇を目掛けたロングボールがきっかけとなっている。71分のハフィーニャの決定機はクロスボールのこぼれを拾った2次攻撃によるもの。そして76分のロベルト・レバンドフスキの決定機も、1本のロングボールが起点だった。

 まずまずのプラン通りといったところだろう。

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