チェルシー戦でアーセナルの左サイドが停滞した理由
この試合の前半でよく見られた現象が、最終ラインと前線を繋ぐリンクマンの役割を担う中盤の選手がいない「中盤の空洞化」である。
この事象が起きてしまった理由の一つが、左SBで先発出場したユリエン・ティンバーと左インサイドハーフで出場したライスの補完性の悪さだ。
両者ともに自分主導の動きが多く、高い位置でボールを受けたがる傾向が強いティンバーと、最終ラインの選手がボールを持っている際に相手のプレス隊よりも手前の低い位置に降りてボールを受けたがる傾向強いライスの相性は良いと言えないだろう。
これをさらに助長してしまったのが、アンカーで先発出場していたトーマス・パーティのポジショニングで、このガーナ代表MFも[4-4-2]で構える相手のツートップよりも手前に降りてボールに触れる機会が多かった。
42分のシーンは、アーセナルのビルドアップが上手くいっていないことを象徴している。この場面ではトーマスとライスも最終ラインに降りてきており、一時的に5バックを形成してビルドアップを行っていた。
2人の中盤の選手が最終ラインに降りたことで、相手のツートップとボランチの間に立つ選手はティンバーしかおらず、完全に最終ラインと前線が分断されていた。
直後にガブリエウ・マガリャンイスの指示でライスは一列前に出たが、このような後ろに重たい状況に陥ると「低い位置にWGが下りてくる形からの外循環」、もしくは「相手の最終ラインの裏を目掛けて蹴る」の2つの選択肢しかない。
前半のアーセナルは、結果的にトーマスが裏へとロングフィードを送って簡単に相手チームにボールを回収されたこの場面を筆頭に、中盤を経由しての攻撃が極端に少なかった。