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フォーカス 8か月前

もっと評価して! プレミアリーグ、過小評価イレブン。市場価値よりも実力がある選手たち

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by Getty Images

MF:ブバカル・カマラ(アストン・ヴィラ/フランス代表)

ブバカル・カマラ
【写真:Getty Images】

生年月日:1999年11月23日
市場価値:3800万ユーロ(約60.8億円)
今季リーグ成績:21試合0得点0アシスト

 今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝にて、パリ・サンジェルマン相手に熱戦を披露したアストン・ヴィラ。彼らの中盤の選手層は非常に強力で、ユーリ・ティーレマンスやジョン・マッギンらも過小評価されている選手たちだろう。

 その中で今回はブバカル・カマラを過小評価イレブンに選出した。2022年夏にマルセイユからフリートランスファーで加入したフランス代表MFは、マンチェスター・シティにおけるロドリのような存在だ。彼が“いる“と“いない“ではチームの完成度が大きく変わる。

 スペースにも対人にも強いアンカーで、状況に応じて適切な場所に顔を出すサッカーIQの高い選手である。自陣に押し込まれている状況では右SBと右CBの間のハーフスペースを埋めつつ、必要な場合は前に出て対人守備の上手さを活かしてボールを刈り取る。

 保持時は出し手としても受け手としても優秀な選手で、相手を自らに引きつけてからのパスでの前進やターンでのプレス回避が得意。どの選手とボランチのコンビを組んでも相性が良く、チームの戦術を機能させる際に彼以上に周囲へ気を配れる選手は希少だ。

 課題は怪我が多いこと。アストン・ヴィラで最も多くのリーグ戦に出場したのが1年目の24試合で、昨季途中には膝の前十字靭帯断裂の大怪我を負った。そのほか、細かい怪我も多く、1シーズンを通して計算するのは難しいかもしれない。

 ただ、ウナイ・エメリ監督のチームには絶対的に欠かせない選手で、すでに契約延長オファーを提出しているそうだ。仮に破談となればビッグクラブの間で争奪戦になるだろう。

MF:ライアン・クリスティ(ボーンマス/スコットランド代表)

ライアン・クリスティ
【写真:Getty Images】

生年月日:1995年2月22日
市場価値:1200万ユーロ(約19.2億円)
今季リーグ成績:29試合2得点3アシスト

 今シーズンのボーンマスはマンチェスター・シティとアーセナルにも勝利し、一時は5位まで浮上した。クラブ史上初となるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得の可能性も十分にある位置につけていたが、アンドニ・イラオラ監督の強度の高いサッカーの影響で怪我人が続出。直近のリーグ戦10試合で2勝5分3敗と大きく調子を落とした。

 ジョゼップ・グアルディオラからも大絶賛される若きスペイン人監督のチームで、最重要人物とも言える存在が10番を背負うライアン・クリスティだ。決定率は加入から4シーズン続けて1桁台と得点力が課題で、ボーンマスでの通算成績は150試合で8得点。従来の10番では失格とも言えるスタッツだろう。

 ただ、彼は普通の10番ではない。セルティックでは一般的なトップ下やアタッカーとして多くの得点に絡んでいたが、ボーンマス移籍後はファイターへと転身。1試合を通してチームのために走る献身性を武器に主戦場をボランチへと移した。

 その上で、プレミアリーグで強度を身に着けた中でも彼が持つ“創造性”は失われていない。ボ-ルを奪ってからのドリブルでの持ち運びや奥行きを使ったパスと、チャンスクリエイトの部分で多大な貢献度をみせている。今季も2得点3アシストと多くのゴールに直接絡んだわけではないが、各試合における存在感はチーム随一だった。

 3月以降は慢性的に痛めていた鼠径部の怪我が悪化する中でも強行出場を続けていたが、4月11日の記者会見でイラオラ監督が手術を行ったと発表。逆転での欧州カップ戦出場権を狙う中で、ボーンマスとしては痛恨の離脱となってしまった。

MF:ミッケル・ダムスゴーア(ブレントフォード/デンマーク代表)

ミッケル・ダムスゴーア
【写真:Getty Images】

生年月日:2000年7月3日
市場価値:2500万ユーロ(約40億円)
今季リーグ成績:33試合2得点10アシスト

 ブレントフォードはプレミアリーグ昇格直後に光った「堅守速攻」から相手に殴り勝つ「超攻撃的」なスタイルに戦い方を変えた。CBのイーサン・ピノックのパフォーマンス低下が著しく、かつては持ち味だった守備の部分で強みを出せなくなっている。

 その中でより、破壊力を増しているのが攻撃面だ。相手の脅威となっているのがヨアン・ウィサとブライアン・エンベウモの両アタッカーで、彼らのカウンターでの“完結力“はプレミアリーグでも指折りだ。

 この強力アタッカー陣の起点となっているのが、3季目を迎えるミッケル・ダムスゴーアである。直近のブライトン戦では87分まで出場し、その時間帯までに生まれた全3ゴールを正確無比な長短のパスでお膳立てした。

 ユーロ2020(欧州選手権)での活躍で注目を集めた同選手だったが、2021/22シーズンにハムストリングの怪我を負ってからは本来のパフォーマンスを取り戻せずにいた。2022年夏にブレントフォードに加入して以降も出場機会が限られ、2022/23シーズンは得点関与がゼロ。2023/24シーズンは3つのアシストを記録したが、無得点に終わっていた。

 失意の2シーズンを経て、ブレントフォード移籍3年目を迎えた今季は、ようやく本来のポテンシャルを発揮できるようになった。

 運動量がある上に、決定的な場面に関わる機会が急増し、33試合消化時点で2得点10アシストを記録。ウィサとエンベウモのスピードを生かしつつ、相手守備陣が触ることのできない絶妙な加減のパスで多くのゴールをお膳立てしている。この活躍が評価され、今年1月には2030年夏までの長期契約を締結した。

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