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コラム 8か月前

久保建英が“ボールを持つこと”を言語化する。なぜ何か起こるのか。レアル・ソシエダの王たる理由【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

久保建英がボールを持つと“何が”起こるのか?

 久保がボールを持って起こした“何か”。この試合のプレーを分析すると、主に以下の3パターンに分類できる。

①カウンターの時、相手のディレイを無効化してボールを前進させること。
②プレス回避の時、相手のはめる潰しを無効化してボールを前進させること。
③崩しの時、対峙する相手とのタイミングをずらして抜き、決定機を創出すること。

 まず①だが、これは試合内容に関わらず、久保の大きな武器である。自陣でボールを奪取し、イレギュラーなボールが久保に渡ると、抜群のコントロールスキルを見せ、ワンタッチで自分の間合いにボールを置く。

 相手が後ろ向きの対応を強いられる中、並走する相手に対しては正対して簡単にベクトルをずらして抜き去り、後ろから追う相手に対しては戻る進路の前にドリブルで入り込むことで置き去りにする。

 実際に15分、コーナーキックのこぼれ球を拾った久保に対し、相手DFはカウンター対応の定石通りに久保の前に立ち、前進をディレイさせようとする。しかし、日本人選手はこの相手DFを簡単にいなしてボールを前進させ、結果的にファウルをもらった。ソシエダはこうして得たフリーキックをきっかけに、同点に追いつくことに成功している。

 続いて②は、①と同様、久保のコントロールの圧倒的な上手さゆえに成立する現象である。通常、相手のプレスの流れに乗ってパスを付けることは、相手に制限されて失いやすい選択肢になるため、あまり推奨されない。しかし、久保クラスの選手ともなると、こうした“はめパス”からでもボールを前進させることができる。

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