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コラム 8か月前

久保建英が“ボールを持つこと”を言語化する。なぜ何か起こるのか。レアル・ソシエダの王たる理由【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

久保建英1人で組織を混乱させた瞬間

 例えば、まだソシエダが相手の4-4-2ブロックを揺さぶりながらビルドアップを試みていた2分のシーン。ビジャレアルが久保のいる右サイドにボールを誘導するプレスをかけていく中、右手前を取った久保は味方から“はめパス”を受ける。

 マークにつく相手の左サイドバックが“はまった!”と高揚してボールを奪おうとした瞬間、後ろ向きだった久保は右足のファーストタッチでその相手に正対し、前に出てきた瞬間に細かい2タッチで左側から抜き去った。

“はまり所”を越えられたビジャレアルは、慌ててラインを下げることになり、一転してピンチに陥る。個の能力により、組織に綻びが生まれた瞬間だった。

 次に、久保の崩しにおける脅威を明らかにする。

ボールを持った久保建英が起こす“何か”。③は、崩しの局面における決定機創出だ。この“決定機創出”には、2つの事象を含んでいる。

 1つは、久保が相手に中と縦のドリブルコースを突き付けながらじっくり前に運び、最終ラインをさらに押し込むこと。もう1つは、相手に突き付けた中と縦のドリブルコースからタイミングをずらして選び、抜き去り、ファーへの柔らかいクロス、ニアへのグラウンダークロス、あるいはシュートを放つことである。

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