久保建英1人で組織を混乱させた瞬間
例えば、まだソシエダが相手の4-4-2ブロックを揺さぶりながらビルドアップを試みていた2分のシーン。ビジャレアルが久保のいる右サイドにボールを誘導するプレスをかけていく中、右手前を取った久保は味方から“はめパス”を受ける。
マークにつく相手の左サイドバックが“はまった!”と高揚してボールを奪おうとした瞬間、後ろ向きだった久保は右足のファーストタッチでその相手に正対し、前に出てきた瞬間に細かい2タッチで左側から抜き去った。
“はまり所”を越えられたビジャレアルは、慌ててラインを下げることになり、一転してピンチに陥る。個の能力により、組織に綻びが生まれた瞬間だった。
次に、久保の崩しにおける脅威を明らかにする。
ボールを持った久保建英が起こす“何か”。③は、崩しの局面における決定機創出だ。この“決定機創出”には、2つの事象を含んでいる。
1つは、久保が相手に中と縦のドリブルコースを突き付けながらじっくり前に運び、最終ラインをさらに押し込むこと。もう1つは、相手に突き付けた中と縦のドリブルコースからタイミングをずらして選び、抜き去り、ファーへの柔らかいクロス、ニアへのグラウンダークロス、あるいはシュートを放つことである。