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コラム 8か月前

久保建英が“ボールを持つこと”を言語化する。なぜ何か起こるのか。レアル・ソシエダの王たる理由【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

久保建英が“ボールを持つこと”とはつまり…

 ビジャレアル戦の26分、相手と正対すると、素早く縦のコースを選びクロスをあげた久保。その1分後の27分には、じっくり縦を見せてから今度は切り返し、左足でファーへのクロスに見せかけたシュートを放った。

 極めつけは44分、じっくりと斜め前に運んでペナルティエリア内に侵入すると、中への切り返しを2回キャンセルした上で、相手の両足が揃ったタイミングを見計らって一気に縦に突破し、右足でグラウンダーの素早いクロスを供給。味方がニアで合わせた。

 これは相手GKのファインセーブに阻まれ、惜しくも得点には至らなかったが、久保は右サイドからのドリブルによって、前半だけで実質2点分のチャンスを創出したのである。

 以上①から③の分析から、“久保がボールを持つ”とは、“右サイドを背にした久保が、ワンタッチ目で敵と正対し、中と縦の両方のドリブルコースの選択肢を保ったまま、相手に向かっていくこと”だ、と言語化することができる。そしてこの試合でも変わらず、久保はボールを持つことによって相手の脅威となっていた。

 しかし、後半のシステム変更を皮切りに、久保はピッチ上での存在感を失う。このビジャレアル戦での戦術変更が、どのように影響したのだろうか。

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