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コラム 8か月前

久保建英が“ボールを持つこと”を言語化する。なぜ何か起こるのか。レアル・ソシエダの王たる理由【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

「久保建英とレアル・ソシエダの未来は…」

 先述の通り、相手の脅威となる久保の特徴とは、“右サイドを背にしてワンタッチで敵と正対し、中と縦の両方のドリブルコースの選択肢を保ったまま、相手に向かっていくこと”である。

 ボール保持を捨て、構造的にサイドハーフを孤立させるこのシステム変更によって、久保は右サイド奥に封じ込められ、プレーに関与する機会を失った。具体的には、先述の②③を実践する機会を失った。こうしてシステム変更の犠牲となり、自らの立場を失った久保は、勝ち越しゴールが欲しかった85分に、ベンチに下がることとなった。

 以上の分析からわかることは、“ボールを持てば何かを起こす力”を持つ久保が真価を発揮するためには、ボール保持を志向する、もしくは右サイド大外のレーンが渋滞しないシステムを構築する必要がある、ということだ。まさにリバプールやバルセロナといったチームが当てはまり、自らの価値を高めるために、移籍を検討することも十分有意義だ。

 しかし当面は、MFマルティン・スビメンディやMFブライス・メンデスが復帰し、再びクリーンなビルドアップを志向する(あるいは、右大外で久保に自由を与えられる)ソシエダの4-3-3システムの復活が待望される。

 現在9位に位置し、UEFAヨーロッパリーグ(EL)出場圏内の7位マジョルカとの勝ち点差は僅か2。5月4日、アスレティック・ビルバオとのバスク・ダービーを含む残り6節で、ソシエダと久保はどのようなフットボールを見せてくれるだろうか。今後も目が離せない。

(文:阪田天祐)

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【了】

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