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コラム 1か月前

「残留はほぼ不可能と分かる」。モンツァに明るい未来は待っているのか。ベルルスコーニ氏の死と無力なガッリアーニ【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

国際的に無名なクラブだったが…

 クラブと同名の本拠地は、ロンバルディーア州で第3位の人口を擁し、ミラノ中央駅から快速に乗車して、最短10分で到着できるアクセスの良さを持つ。モータースポーツのファンであれば、誰もがイタリアでのF1グランプリ開催地としてこの地を思い浮かべるだろう。

 世界で3番目に古い歴史を持つ伝統のサーキットがあり、「フェラーリの聖地」として知られているこの場所では、グランプリ開催日になると、世界中からフェラーリファンが詰めかけ、会場一帯が赤一色に染まる。その光景は、唯一無二のものだ。

 1912年に創設されたモンツァは、46シーズンでセリエBを主戦場としてきたプロヴィンチャのクラブだ。転機が訪れたのは、2018年9月18日。シルヴィオ・ベルルスコーニ氏が創設したフィニンヴェスト社によって、クラブの全株式が購入された。2017年にミランの経営から退いたこの大物が、なぜ、国際的には全く無名なこのクラブの再建に乗り出すことになったのか? その答えは単純明快だ。

 イタリア随一の実業家の盟友で、レーガ・カルチョ会長とミランの副会長を兼務したアドリアーノ・ガッリアーニが、この地の出身で、誰よりもこのクラブを愛し、80年代には、スポーツディレクターと副会長を経験しているからだ。買収当時、『コッリエーレ・デッラ・セーラ』紙のインタビューで買収に至った経緯をこう語っている。

「ある日、ベルルスコーニ会長と何気ない会話の中で、別のクラブを買うというアイデアが浮かんだ」。その別のクラブが、モンツァとなったことは想像に難しくない。

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