名コンビはモンツァでもその手腕を発揮
「ベルルスコーニ会長には、この数カ月でさまざまなクラブから買収の話が届いたが、すべて断った。私自身も複数のクラブからオファーを受けたが、辞退している。会長の自宅はホームスタジアムから3キロの距離にあり、私はこの町で生まれ育ち、経営者としてのキャリアをスタートさせた。まるで、オデュッセウスが、イタキ島に帰還したかのような気分だ」
様々な困難に直面しながら、10年もの歳月をかけて故郷への帰還を果たしたギリシャ神話の英雄になぞらえ、自身のモンツァ復帰を重ね合わせた。
クラブ経営に精通する両雄の参入は、即座に目に見える成果をもたらした。
その時、チームはセリエCでの戦いを余儀なくされていたが、19/20シーズンにセリエCを制覇。翌シーズンは、セリエBの3位に終わるが、プレーオフに敗れ、2年連続昇格を逃した。そして、21/22シーズン、自動昇格とはならなかったものの、4位からプレーオフを勝ち抜け、悲願のセリエA昇格を成し遂げる。クラブ史上初となるトップリーグ参戦だ。
22/23シーズン開幕前の夏、クラブは前例のない大型補強に踏み切った。
中でも、地元出身で、クラブ下部組織から育ったマッテオ・ペッシーナの獲得は、大きなサプライズとなった。イタリア代表として、欧州制覇を経験した当時25歳のMFを新戦力として加えたことは、クラブの並々ならぬ野心の現れだった。
しかし、歴戦の相手に全く歯が立たず、開幕節から5試合で13失点も許し、5連敗という厳しいスタートを切る。第6節のレッチェ戦で引き分け、ようやく勝ち点1を手にしたが、最下位に沈むクラブは、昇格に導いたジョヴァンニ・ストロッパ監督を解任。プリマヴェーラを率いていたラッファエーレ・パッラディーノをトップチームに引き上げて、指揮を託した。
すると、この“ギャンブル”とも言える監督交代劇が功を奏した。