SB:ユリエン・ティンバー(アーセナル)

【写真:Getty Images】
昨シーズンは、ほぼ全欠という悔しい1年間を過ごしたユリエン・ティンバーが見事な復活を遂げた。特に彼の原点とも言える右SBでのクオリティの高さは、ベストイレブンに該当するレベルのものだろう。
今季のアーセナルは最終ラインに怪我人が続出した。昨シーズンに右SBでフル稼働していたベン・ホワイトは負傷と復帰を繰り返しており、冨安健洋もシーズンの大半を欠場。新加入のリッカルド・カラフィオーリも細かい怪我のために満足のいく出場時間を確保することができていない。
こういった立て続けのSBの負傷の穴を埋めたのがティンバーだった。左SBでのプレーは心地悪そうだったが、ホワイトが離脱して以降の右SBとしてのクオリティは抜群。特に足の速さをはじめとするフィジカル能力の高さを活かした対人戦の強さは、堅守が武器のアーセナルにとって重要な武器となった。
ドリブルで相手に抜かれた回数はリーグ戦で9回しかなく、ティンバーよりも半分以下の出場機会に留まっているホワイトが17回抜かれていることを踏まえると際立ったスタッツと言えるだろう。守備だけでなく、パスやファイナルサードでのクロスなどの質も兼ね備えており、来季以降も右SBのファーストチョイスになりそうだ。
SB:ミロシュ・ケルケズ(ボーンマス)

【写真:Getty Images】
生年月日:2003年11月7日
リーグ戦成績:35試合2得点5アシスト
「史上最高のDF」とも称されるパオロ・マルディーニが惚れた才能が本格的に開花した。今シーズンのミロシュ・ケルケズは攻守においてプレミアリーグで最高レベルの左SBである。
リーグトップクラスの走行距離を誇るボーンマスのSBに求められる動きが、大外からのアップダウンだ。昨今はアーセナルやマンチェスター・シティのように、SBが中盤の一角を担ってビルドアップをサポートする役割を求めるチームもあるが、アンドニ・イラオラ監督のチームでは上下の走力が最も重要視されている。
この役割にケルケズは完全にハマった。敵陣に押し込む際には左の大外を取るウインガーとして機能し、第13節ウォルバーハンプトン戦ではニア上を抜く技ありのゴール。クロス精度の質も高く、第35節終了時点で5つのアシストを記録している。自陣ではアジリティを活かした積極的な守備が光り、対人戦における強さはプレミアリーグのレフトバックでも指折りのものがある。
ケルケズのプレースタイルはフィジカルの消耗が激しいことが予想されるが、それでもリーグ戦の全試合で先発を飾っているのは彼のタフさを象徴している。試合途中でベンチに下がったのは4試合しかなく、昨年12月以降は全試合でフル出場。チームメイトが怪我に苦しむ中で気合のフル稼働を続けている。